「Aさんだけ数字が作れる」「見積の根拠が人によって違う」——それは“営業プロセス”が人ごとにバラけているサイン。この記事では、営業を“再現できる仕組み”にする方法に絞って解説します。屋台の名店みたいに、誰が握っても同じ味——つまり売上アップを安定させつつ、チーム全員で同じ結果を出せる状態を目指しましょう。
この記事のポイント
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パイプラインの段階を定義
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MQL(営業前提の見込み客)→初回接触→ヒアリング→提案→見積→受注の移行条件を明確化。山笠の流れのように、迷いゼロで進めましょう。
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商談メモの“型”を統一
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誰が書いても同じ粒度(決裁者・課題・期限・予算)。ここが揃うと、売上アップの再現性がグッと上がります。
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プレイブック(営業の勝ち筋マニュアル)化
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ヒアリング質問・反論対応・提案テンプレを一本化。商店街の共通ルールみたいに、迷ったらこれを見ればOKに。
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少数KPI(重要指標)で週次運営
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アポ数/提案数/見積数/受注数/リードタイムだけを定点観測。数字は屋台の仕込みと同じ、毎日の積み上げが命です。
属人的な営業が生まれる理由
情報の非共有(頭の中・個人スマホ)と段階不在(勝手ルール)が原因。これだと再現性がなく、育成と予測が効きません。結果、見積の条件もブレてチャンスを逃しがちです。
第一歩:情報を「残す化」し、置き場所を一本化
名刺・商談メモ・見積は必ず共通の台帳/CRMに登録。スマホで1分以内に入力できる項目数に絞ります。ここが整うと、売上アップの打ち手も早く打てます。
最小セット(今日から)
顧客台帳の列:会社名/担当者/直近の話題/次やること/期限。
商談メモ:決裁者・課題・期日・予算を必須。屋台の「仕込み表」と同じで、まずはこの最小セットだけ徹底しましょう。
「残す化」を回す実務アイデア
- 名刺は名刺スキャンで即取り込み→自動で会社名・氏名を台帳化。面倒な手入力を削減。
- 商談メモは音声入力→テンプレ自動整形(決裁者/課題/期日/予算の4項目に自動見出し)。
- 見積は品目テンプレ+前提条件テンプレを固定化。原価・割引・有効期限の書式を一本化してブレを防止。
- ファイルの置き場ルール:顧客ごとに「00_商談/10_提案/20_見積/30_契約」のフォルダ固定。ファイル名は「日付_会社_内容_v1」などに統一。
- 次アクションは必ず期限つき(例:「来週水曜までにデモ動画送付」)。台帳の「次やること/期限」に必ず入れる。
- メール・電話の履歴は共有箱へ自動連携(BCCルール/通話メモの要点だけ転記)。個人スマホ止まりを撲滅。
- ダッシュボードは少数KPIだけの1枚に集約(アポ数/提案数/見積数/受注数/リードタイム)。週次レビューはこの画面だけで進行。
- 合意事項の証跡:提案書・見積・合意した条件のスクショを案件フォルダに紐づけ保存。後から確認・共有がスムーズ。
「残す化」をカンタンに回す実務
①「自動整形」=しゃべった内容を“同じ形”にそろえる
やることは3つだけ。売上アップの打ち手を早く回せます。
- スマホの音声入力で商談内容を話す
- 会社で決めたメモの型を呼び出す(短縮登録やスニペットで一発)
- 1分で埋めて保存(台帳/CRMの商談メモ欄)
メモの型(コピペでOK)
【決裁者】:
【課題】:
【期日】:
【予算】:
【次やること】:
- スマホに短縮登録(例:「mm」と打つと上の5行が出る)
- 商談直後に1分タイマーでサッと入力(座る前に終わらせる)
- ファイル名やフォルダは会社ごと+同じ並びに統一(探す時間をゼロに)
②「自動連携」=メールや電話の履歴が“勝手にみんなの箱”へ入る
個人スマホ止まりを撲滅。読めば誰でも状況がわかる状態にしますたい。
メールの連携(いちばんラク)
- チームで共有メールアドレス(BCC用)を1つ決める
- 外部に送るメールは必ずBCCにそのアドレスを入れるルール
- これだけで全員が見られる箱に自動でたまる
※Gmail/Outlookの拡張(公式アドイン)があれば、ワンタップで記録も可能。
電話の連携(要点だけでOK)
- 通話を切ったら30秒だけ、下の5行を埋める
- 共有のメモ箱(社内チャットの専用スレや共通フォルダ)に入れる
- 長文や録音は後回し。要点だけで十分回ります
通話メモ(要点だけ)
【決裁者】:
【課題】:
【期日】:
【予算】:
【次やること】:
③ 今日から回すミニ手順(5つだけ)
- メモの型(5行)を全員に配布し、スマホに短縮登録
- 共有メールアドレス(BCC用)を決め、全員でテスト送信
- 共有メモ箱を1つ決める(チャットの専用スレ等)
- 週次15分ミーティングで5指標と次やること1個だけ共有
- 見積の前提条件ひな形を1枚に統一(有効期限・割引・注意事項)
ここまで整うと、屋台の仕込みみたいに毎日コツコツ積み上がり、売上アップがスムーズに回ります。
「型」で回す:段階・テンプレ・レビュー
段階と移行条件
- 初回接触 → ヒアリング:会話で課題を本人の言葉で確認できたら(相手の「本音」をメモに残すのがコツです)
- ヒアリング → 提案:課題・期限・成功条件が言語化できたら(見積条件や合意事項もここで確認)
- 提案 → 見積:提案合意の上で金額検討に進む合意が取れたら(前提条件・有効期限はテンプレで統一)
プレイブックの骨子
ヒアリング質問集/反論対応集/提案スライドの章立て/メールテンプレ(初回・追客・失注復活)。現場で迷ったら即見返せる“持ち運べる山笠”にしておくと強いです。
週次レビュー(15分)
KPI(重要指標)の変化だけを確認。「次やること」を各自1件共有。詰問は禁止、障害の除去に集中。短時間で回して、空いた時間を提案づくりに回しましょう。
チェックリスト(3つ以上×で要改善)
- 案件の段階が人によって表現が違う(「いい感じ」等)。
- 商談メモの必須項目がない(決裁者・課題・期日・予算)。
- 見積の前提条件や有効期限が統一されていない。
- 週次でKPIを見ていない/ダッシュボードがない。
- メールや電話履歴が個人の端末だけにある。
まとめと次の一歩
- 置き場所を一本化し、最小必須項目で残す化。
- 段階の定義とプレイブックで再現性を作る。
- 少数KPIの週次運営で予測精度を高める。
次にやること:既存顧客10社だけで「台帳+段階管理」を開始。1か月後に型を見直す。まずは小さく始めて、商店街式にみんなで磨いていきましょう。
用語ミニ辞典(さらっと復習)
- MQL
- Marketing Qualified Leadの略。営業に回す前提の見込み客。行動基準(例:資料DL+セミナー参加など)を社内で数値化して判定。
- プレイブック
- 営業の勝ち筋マニュアル。質問集・反論対応・提案テンプレ・見積ルール・メール文例までを1冊に。
- KPI
- Key Performance Indicatorの略。ゴールに効く重要指標。本記事ではアポ数/提案数/見積数/受注数/リードタイムを推奨。