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「今のままでいい」と反発が出る——DXを社内に根づかせる進め方

「今のままでいい」と反発が出る——DXを社内に根づかせる進め方

「業務を楽にしたいだけなのに、新しいやり方を持ち込むと『今のままでよか』と社内から反発が出る」——DXを進めようとする経営者から、よう聞く悩みです。良かれと思って入れた仕組みが、現場には“押しつけ”に映ってしまう。慣れたやり方を変えるのは、誰だって不安なんですよね。実は反発の多くは、ツールへの拒否やなく「自分の仕事が否定された」という気持ちから来ています。この記事では、抵抗をやわらげて現場を味方につける進め方を、「小さく試す・不安を聞く・成功例を見せる」の3つに絞って、現場の例と数字の見方つきでお伝えします。

この記事のポイント

反発の正体は「ツール嫌い」やなく「不安」

多くの反対は仕事を否定された気持ちから来ます。ここを取り違えると、説得するほどこじれます。

全社一斉やなく「小さく試す」から始める

一部の業務・一人の協力者から始めると、失敗してもダメージが小さく、現場の納得も得やすかです。

成功例を見せれば、反対派が協力者に変わる

言葉で説得するより、身近な人の「楽になった」を見せるほうが、定着はずっと速く進みます。

「今のままでいい」の裏にある本当の気持ち

DXに反発する人は、変化が嫌いな“困った人”やありません。多くは「今のやり方で回しとるのに、なぜ変えるのか」「自分のスキルが要らんようになるのでは」という不安を抱えとるだけです。ここを「抵抗勢力」と決めつけて押し切ると、表向きは従っても心が離れ、結局ツールは使われんようになります。まずは反発を、現場からの大事なサインとして受け止めることが出発点になります。

説得より「不安を聞く」が先になる

春日の製造業では、社長が勤怠アプリを一斉導入したところ、ベテランの職人さんが「紙のほうが速か」と猛反発し、現場が二分したそうです。一方、薬院の歯科医院では、導入前に「何が面倒になりそうか」を一人ずつ聞いてから始めたところ、出てきたのは「入力が増えるのが嫌」という具体的な不安でした。そこだけ手当てしたら、すんなり受け入れられたといいます。博多の山笠で古株が新人に段取りを譲るときも、いきなり任せず「不安なところ、先に聞いとく」もんです。順番が逆になると、人はついてきません。

Before / After(よくある手戻り)

  • Before:全社一斉に新ツールを通達 → 「聞いてない」「今のままでよか」と反発 → 形だけ使って裏で元のやり方に戻る → 二重作業で逆に手間が増える
  • After:事前に不安を聞き、一部署で小さく試す → 「これは楽」と現場が実感 → 自然に横へ広がり、定着する
手戻りの多くは「ツールが悪い」やなく「進め方の順番」から生まれます。そろえるべきは、技術やなく現場の納得です。

いきなり全社やなく「小さく試す」から始める

反発を一番こじらせるのは、全社一斉の“一発勝負”です。失敗したときのダメージが大きく、後戻りもしにくか。だから経営者がまずやるべきは、一つの業務・一人の協力者から小さく試すことです。範囲を絞れば、現場も「お試しなら」と身構えずに付き合えます。

具体例:範囲を絞ると協力者が見つかる

糸島の宿泊施設では、予約管理の自動化をいきなり全スタッフに広げず、まず「興味のある若手1人+1業務(問い合わせ返信の下書き)」だけで2週間試したそうです。その若手が「返信を考える時間が半分になった」と実感し、自分から周りに教え始めた。結果、上から命じるより速く広がりました。最初の協力者は、説得しやすい人やなく「困りごとを抱えとる人」を選ぶのがコツです。

用語ミニ解説:スモールスタートとは

スモールスタートとは、いきなり完成形を目指さず、小さい範囲で試して手応えを見ながら広げるやり方です。宗像の小売店では「まずレジ締めの集計1つだけ自動化する」と決めて始めたことで、失敗しても被害は最小、うまくいけばそのまま横展開、という安全な進め方ができたといいます。大きく構えず、1業務から。これがDX定着の地味だけど確実な道です。

反対派の不安を“見える化”する進め方(コピペOK)

「不安を聞く」と言うても、面談で身構えると本音は出てきません。そこで、出てきた声をAI(ChatGPTなど)に整理してもらい、「何に困っとるか」を見える化すると、手当ての優先順位が一目で分かります。むずかしい設定はいりません。集めた声を渡すだけです。

手順は3ステップ

  • (1) 反対・心配の声を5〜10件、ふせんや雑談メモのまま集める(きれいにまとめなくてよか)
  • (2) AIに「不安の種類分け」と「小さく試せる対策案」を出してもらう
  • (3) 一番多い不安1つだけに絞って、まず手当てする

そのまま使えるプロンプト例

反対意見の不安を見える化するプロンプト
以下は、新しい仕組みの導入に対して社内から出た反対・心配の声です。
経営者が「まず何から手を打つか」を決められるよう整理してください。

【やってほしいこと】
・声を「仕事が増える不安/スキルが要らなくなる不安/やり方が分からない不安」の3種類に分類する
・種類ごとに、全社展開せず“小さく試して”和らげられる対策案を1つずつ出す
・最後に、まず手当てすべき不安を1つだけ選んで理由を添える

【注意】
・反対した人を責める表現は使わない
・個人名や個人が特定される表現は伏せたまま扱う

【反対・心配の声】
(ここに集めた声を5〜10件貼る)
個人情報に注意。「誰が言ったか」が分かるメモは、名前を消してからAIに貼りましょう。出てきた対策案はあくまで“たたき台”です。最終的にどれを試すかは、現場の様子を見て人が判断すると安全です。

成功例を見せて協力者を増やす(数字の見方)

反対派の心を一番動かすのは、社長の熱意やなく身近な同僚の「楽になった」という実例です。小さく試した協力者の成果を、ささやかでよかので社内で共有する。すると「あの人にできるなら」と、次の協力者が自分から手を挙げ始めます。効果は感覚で終わらせず、1つだけ数字を決めて記録すると、広がりが続きます。

  • 定着率:試した仕組みを「翌週も使っとる人」が何割か
  • 協力者の数:自分から「うちでも試したい」と言う人が何人になったか
  • 手戻りの件数:元のやり方に戻ってしまった業務が月に何件か
KPIは欲張らず1つでOK。たとえば「協力者が1人→4人になった」だけでも、社内の空気は大きく変わります。数字は“反発をほどけた証拠”になります。

まとめと次にやること

  • 「今のままでいい」の正体は不安。説得より先に、まず聞くことから始まります
  • 全社一斉やなく、1業務・1人の協力者から小さく試すと、失敗しても痛くなく定着します
  • 成功例を見せれば、反対派が次の協力者に変わり、現場が自然に巻き込まれていきます

次にやること:まずは反対・心配の声を5件だけ集めて、上のプロンプトで「一番多い不安」を1つ見つけてみましょう。その1つを小さく手当てするだけで、止まっとったDXがまた前に動き出します。

うちの場合どう進める?と思ったら、ちょっとLINEで聞いてみてください。

LINEで「業種・いま一番の困りごと・だいたいの規模」を2〜3行送ってください。あなたの会社の“最初の一歩”を1つ、具体的に無料で提案します。売り込みはしません。

糸島 歩(いとしま・あゆむ)

執筆者紹介

糸島 歩(いとしま・あゆむ)

DX設計者/DX解説ライター

地域の中小企業の現場を30年追い続けてきた編集者。
「むずかしいDXを、現場の言葉に翻訳する」が持ち味。
記事だけでなく、構成テンプレ・用語の言い換え辞書まで整える職人気質。

趣味:糸島ドライブ/磯あそびと子ども科学館めぐり/コーヒー焙煎少々

■出身地
福岡県糸島市

■学歴
1991年 福岡県立修猷館高等学校 卒業
1995年 九州大学文学部 卒業

■経歴
1995年 地方紙 経済部記者(福岡)…製造・建設・流通の中小企業を取材
2005年 事業会社 広報/オウンドメディア立ち上げ…BtoB記事と導線設計
2012年 フリー編集者…採用広報・事例記事・ホワイトペーパー制作
2018年 IT/SaaS企業 コンテンツストラテジスト…DX導入事例とHow-to量産
2025年 「ChotGPT Fukuoka」専属ライター…“ちょっとDX”の入門・事例・制度解説を統括

目次

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