「あの人が辞めたら、もう誰もこの機械を直せん」——長年支えてくれたベテランの退職が近づくと、ふっと胸がざわつきますよね。本人は当たり前のようにやっとるから、何がコツなのか自分でも言葉にできん。だから引き継ぎが「見て覚えて」で終わって、辞めた後に「あれ、どうやっとったっけ」と現場が止まってしまう。実はこれ、段取りさえ決めれば防げます。この記事では、退職前の限られた時間で「技」を聞き出し・記録し・新人に渡すまでの流れを、AI(ChatGPTなど)で聞き取りメモを整えるコツも添えて、一緒に考えていきましょう。
この記事のポイント
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技は「聞き出す段取り」を決めてから始める
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本人も無意識にやっとるコツは、質問の順番を用意するだけでぐっと言葉になります。場当たりで聞かないのがコツです。
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言葉より「動画と写真」で残すと早い
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手の動き・力加減・順番は、文章より映像のほうが正確に伝わります。スマホ1台で十分とです。
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AIで聞き取りメモを“渡せる手順書”に整える
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バラバラな話し言葉のメモを、AIに番号つきの手順へ整えてもらえば、新人がそのまま読めます。
なぜベテランの“技”は引き継がれず消えるのか
ベテランが辞めるときに失われるのは、マニュアルに書いてある作業ではありません。本当に消えるのは「言葉にしてこなかったコツ」——音の違いで異常に気づく、季節で力加減を変える、といった頭と手が覚えとる部分です。本人にとっては当たり前すぎて、わざわざ伝えようとも思わん。だから「見て覚えて」で済ませてしまい、辞めた後に誰も再現できんようになります。
本人が「当たり前」と思っとることほど価値が高い
大牟田の製造現場で、長年勤めた職人さんに「コツはありますか」と聞いたら「特にないよ」と返ってきた、という話があります。ところが作業中に「今の“カチッ”って音が合図」とポロッと出た一言が、実は不良を防ぐ一番のコツやった。人は自分が無意識にやっとることを、質問されて初めて思い出します。だから「聞き出す」のは、教える側でなく聞く側の段取りなんです。心理学でも、人は「あなたの経験を教えてください」と頼られると、自分の仕事に意味を感じて口が軽くなる、と言われとります。
Before / After(よくある手戻り)
- Before:退職1週間前に「引き継ぎお願い」 → 「見て覚えて」で終わる → 辞めた後に手が止まり、本人へ電話で聞き直す羽目に
- After:退職の前から質問リストで聞き出し → 動画と手順書に残す → 新人が自分で見返せて、本人に連絡せず再現できる
退職前にやる「技を残す」3つの段取り
限られた時間でも、順番を決めれば慌てません。難しい道具はいりません。スマホとメモ、それと「聞く側の心構え」だけで進められます。一緒に流れを見ていきましょう。
段取り1:質問リストで“コツ”を聞き出す
まずは聞く順番を用意します。「この作業で一番気をつけとることは?」「失敗するとしたらどこ?」「新人がよく間違える所は?」——この3つを軸に聞くだけで、本人の頭の中が言葉になって出てきます。春日の設備管理の会社では、この3問を全作業に当てて聞いたところ、本人も「言われてみればそうやね」と気づくコツが次々に出てきた、という例があります。問い詰めず、「教えてもらう」姿勢で寄り添うのが大事とです。
段取り2:動画と写真でその場を記録する
手の動き・力加減・順番は、文章では伝わりきりません。作業しながらスマホで撮って、本人に「今、何を見とった?」と声をかけてもらうだけで、貴重な解説つき動画になります。長い動画は後で見返しにくいので、1作業1〜2分の短い動画に分けて撮るのがコツ。写真は「正しい状態」と「ダメな状態」を並べて撮ると、新人が一目で違いを判断できます。
段取り3:新人に「渡せる形」にして手渡す
記録しただけでは引き継ぎは終わりません。新人が一人で見返せる場所——共有フォルダや1枚の手順書——にまとめて、はじめは本人がいるうちに新人にやらせてみます。宗像の食品加工の現場では、退職前の2週間で「新人がやる→ベテランが横で見る」を繰り返したことで、辞めた後の問い合わせ電話がほぼゼロになった、という声がありました。渡して終わりでなく、いるうちに一度やらせる。これが安心への近道です。
AIで聞き取りメモを“渡せる手順書”に整える
聞き出したメモは、たいてい話し言葉でバラバラです。「えーっと、まず電源入れて、あ、その前に確認して…」みたいな。これをそのまま渡しても新人は読めません。そこでAIに、番号つきの手順へ整え直してもらいます。難しい設定はいりません。無料のChatGPTなどに、メモと「やってほしいこと」を渡すだけです。
手順は3ステップ
- (1) 聞き取りメモを、話し言葉のままコピーする(誤字や言い直しはそのままでOK)
- (2) AIに「番号つきの手順書」と「新人が間違えやすい注意点」に整えてもらう
- (3) 出てきた手順書を本人に見せて、抜けがないか1か所だけ直してもらう
そのまま使えるプロンプト例
以下は、退職予定のベテランから作業のコツを聞き取った話し言葉のメモです。新人が一人で読める手順書に整えてください。
【やってほしいこと】
・作業の流れを番号つき(1.2.3.)の手順に並べ直す
・「ここで間違えやすい」という注意点を手順ごとに一言そえる
・専門用語はやさしい言葉に言いかえる
・最後に「特に気をつける3点」をまとめる
【注意】
・メモに書いていない手順は勝手に足さない(分からない所は「要確認」と書く)
・人名や個人情報が混じっていたら伏せる
【聞き取りメモ】
(ここに話し言葉のメモを貼る)
技を残す段取りで“辞めた後の手戻り”を減らす(数字の見方)
段取りができると、技術継承は「本人にしか分からん仕事」から「新人が自分で見返して再現できる仕事」に変わります。効果は気持ちだけで終わらせず、1つだけ数字を決めて記録すると、続けやすくなります。欲張らず、現場で測りやすいものを選びましょう。
- 再習得にかかる手間:新人が一人でできるようになるまで、何日・何回かかったか
- 辞めた後の問い合わせ:退職した本人に聞き直した回数が、月に何件あったか
- 対応できる人の数:その作業を任せられる人が何人に増えたか
まとめと次にやること
- 消えるのはマニュアルの作業でなく「言葉にしてこなかったコツ」。聞き出す段取りを先に決めましょう
- 手の動きや力加減は、スマホの短い動画と写真で残すと正確に伝わります
- 話し言葉の聞き取りメモは、AIで番号つきの手順書に整えれば新人がそのまま読めます
次にやること:まずはベテランの一番大事な作業を1つだけ選び、「気をつけとること・失敗する所・新人が間違える所」の3問を聞いて、スマホで1〜2分の動画を撮ってみましょう。1つ残せた経験ができると、次からの引き継ぎがぐっとラクになります。
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