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新人が質問してこないのは「聞きやすい空気」がないから。3つの仕掛けで手戻りを減らす

新人が質問してこないのは「聞きやすい空気」がないから。3つの仕掛けで手戻りを減らす

「新人が全然質問してこんけん、できとると思っとったら、後でごっそり手戻りが出た」——人を育てる現場で、よう聞くお悩みです。本人は本人で「こんなこと聞いたら迷惑かな」「今さら聞けん」と、ひとりで抱え込んでしまっとる。これ、実は新人の性格や根性の問題じゃなくて、職場に「聞きやすい空気」がそろっとらんだけのことが多いとです。心理学では、これを心理的安全性と呼びます。この記事では、質問を歓迎する一言・聞くタイミングの決め方・先輩からの声かけという3つの小さな仕掛けで、新人が自然と聞けるようになり、手戻りと早期離職を一緒に減らしていく手順を、現場の例と数字の見方つきで一緒に考えてみましょう。

この記事のポイント

質問しないのは「空気」のせい

抱え込みは本人の性格より、聞いていい空気=心理的安全性の不足が原因のことが多いです。

「歓迎の一言」で聞くハードルが下がる

質問を喜ぶ一言を先に伝えておくだけで、新人は安心して声を出せるようになります。

タイミングと声かけを仕組みにする

聞く時間をあらかじめ決め、先輩から声をかける形にすると、抱え込みが手戻りになる前に防げます。

なぜ新人は「質問してこない」のか

質問してこん新人を見ると、つい「やる気がないとかな」「自分で考えとるとかな」と思いがちです。でも本人の頭の中では、たいてい「聞いたら迷惑かもしれん」「こんなことも分からんのかと思われたくない」という不安がぐるぐる回っとります。人は、安心できん場所では口を閉じるものです。心理学でいう心理的安全性——「ここでは何を聞いても大丈夫」という感覚——が薄いと、質問はどんどん減っていきます。だからまず大事なのは、新人を責めるより、聞きやすい空気をこちらからつくることなんです。

抱え込みが「手戻り」に化けるしくみ

春日の小さな製造業で、新人が図面の指示をうまく読めんまま、聞けずに自己流で作業を進めてしまった、という声があります。本人は「迷惑をかけたくない」一心だったのですが、結果として丸一日ぶんの作り直し=手戻りが出てしまいました。一方、薬院の歯科医院では、受付の新人が予約ルールを「念のため確認しますね」と気軽に聞ける雰囲気をつくったことで、ダブルブッキングが起きる前に止められるようになったそうです。抱え込みは、見えんところで静かに手戻りに育っていく。だから早めに聞けることが、そのまま現場のロスを減らすことにつながります。

Before / After(よくある手戻り)

  • Before:新人が不安で聞けない → 自己流で進める → 後でまとめて作り直し、本人も「やっぱり向いてないかも」と早期離職へ
  • After:聞いていい空気を先につくる → 小さな疑問のうちに質問が出る → 手戻りが減り、新人も「ここなら続けられそう」と安心して残る
「なんで聞かんと?」と新人を責めても空気は変わりません。変えるべきは、聞いてもいいと思える場の側です。

仕掛け1:質問を歓迎する「一言」を先に渡す

新人が安心して聞けるかどうかは、最初の一言でほとんど決まります。「分からんかったら聞いてね」だけだと、実は弱いとです。なぜなら新人は「本当に聞いていいんかな」と半信半疑だから。大事なのは、質問されること自体を歓迎しとると、はっきり言葉にして伝えることです。

具体例:効く「歓迎の一言」

  • 歓迎を伝える→「質問してくれると、こっちも説明の抜けに気づけて助かるけん、どんどん聞いてね」
  • 聞くのを正解にする→「3分考えて分からんかったら、それは聞くタイミングよ。抱え込まんでよかよ」
  • 失敗より相談を歓迎→「間違えるより、迷ったまま進む方がもったいないけん、迷ったら声かけてね」

用語ミニ解説:心理的安全性とは

心理的安全性とは、「この場では、質問しても・間違えても・違う意見を言っても、責められたり評価が下がったりせん」とメンバーが感じられる状態のことです。なごみのある職場、という意味ではありません。むしろ、安心して本音や疑問を出せるからこそ、ミスや手戻りが早く表に出て、現場がよくなっていく。糸島のゲストハウスでは、朝礼で「今日ひとつでも質問できたらえらい」と声をかけ続けたら、新人スタッフの小さな確認が増え、クレームの芽を早めに摘めるようになった、という例があります。

仕掛け2:聞くタイミングを「決めておく」

「いつでも聞いてね」は、やさしいようで、実は新人をいちばん迷わせる言葉です。先輩が忙しそうにしとると、「今は声をかけにくい」と結局タイミングを逃してしまう。だからこそ、聞いていい時間をあらかじめ決めておくと、新人は安心して疑問を持ち越せるようになります。

タイミングを仕組みにする工夫

  • (1) 1日1回、5分でいいので「質問タイム」を決める(昼休み前・終業前など)
  • (2) 「聞きたいことメモ」を新人に持たせ、思いついた疑問をその場で書き留めてもらう
  • (3) 質問タイムで、メモの内容を上から一緒に確認していく

こうすると、新人は「この時間に聞けばいい」と分かるので、抱え込みが減ります。宗像の介護施設では、申し送りの前に5分の確認タイムを置いたことで、新人が「これ、合っとりますか」と聞けるようになり、ケアの手順違いがぐっと減ったそうです。

AIに「質問しやすい声かけ」を整えてもらう

どんな一言をかけたらいいか迷うときは、AI(ChatGPTなど)に下書きを手伝ってもらうとラクです。むずかしい設定はいりません。文脈と目的を渡すだけで、現場に合った言い回しを何通りも出してくれます。

質問しやすい声かけ づくりプロンプト
新人が安心して質問できるように、先輩から伝える「声かけの一言」を考えてください。

【やってほしいこと】
・質問されること自体を歓迎していると伝わる言い回しを5パターン作る
・上から目線にならず、やわらかく対等な言葉にする
・「いつ聞けばいいか」が新人に伝わる一言も1つ入れる

【注意】
・「分からないなら聞いて」だけの突き放した表現は避ける
・新人の人格やスピードを評価する言葉は入れない

【現場の状況】
(業種・新人の入社時期・よくある手戻りの例をここに書く)
AIが出した言い回しは、そのまま使う前に必ず人が読み、自分の現場の言葉に直しましょう。新人さんの名前や評価にかかわる個人情報は、AIに貼らないようにしてください。

仕掛け3:先輩から「声をかける」側に回る

ここまで空気を整えても、最後のひと押しは先輩から先に声をかけることです。新人が動くのを待つのではなく、こちらから「さっきのとこ、大丈夫やった?」と寄っていく。これだけで「自分は気にかけてもらえとる」という安心が生まれ、次の質問が出やすくなります。声かけは、心理的安全性をいちばん早く育てる栄養です。

声かけは「短く・具体的に・定期的に」

声かけのコツは、長い面談より、短い一言をこまめに、です。「調子どう?」だと漠然としすぎて新人も答えにくいので、「さっきの入力、迷うとこなかった?」と具体的に聞くと、疑問が引き出されやすくなります。大牟田の建設会社では、現場監督が午前と午後に1回ずつ「困っとるとこない?」と新人に声をかけるルールにしたところ、若手が小さな確認をできるようになり、図面の読み違いによる手戻りが減った、という声があります。

やってはいけない声かけ

  • 詰問になる→「なんで聞かんかったと?」は、次から聞けなくする一言。NG。
  • みんなの前で指摘→人前での「それ違うよ」は、安心を一気に削ります。指摘は個別に。
  • 聞いたのに後回し→せっかく質問したのに放置すると、「やっぱり聞かん方がよか」となります。
声かけは内容より「責めない・後回しにしない」が命。安心して聞けた経験が、次の質問を連れてきます。

空気づくりの効果を「数字」で見る

聞きやすい空気は、ふわっとした話に見えて、ちゃんと数字に表れます。効果を感覚で終わらせず、1つだけ数字を決めて記録すると、続けるはげみになります。

  • 手戻りの件数:聞けずに自己流で進めて作り直しになった件数が、月に何件減ったか
  • 新人の早期離職:入社3か月以内で辞める人が何人から何人になったか
  • 1日の質問の数:新人が1日に出せた質問の数(最初はゼロでも、増えること自体が前進)
KPIは欲張らず1つでOK。たとえば「入社3か月の早期離職が3人→1人に減った」だけでも、採用と育成にかけた手間がぐっと報われます。

まとめと次にやること

  • 新人が質問してこんのは性格より「聞きやすい空気=心理的安全性」の不足。責めるより空気をつくる
  • 質問を歓迎する一言・聞くタイミングを決める・先輩から声をかける、の3つで抱え込みがほどける
  • 効果は「手戻り件数」や「早期離職」など数字を1つだけ決めて記録すると続く

次にやること:まずは明日、新人ひとりに「質問してくれると助かるけん、どんどん聞いてね」と歓迎の一言を伝えてみましょう。たった一言でも、聞きやすい空気は今日から育てられます。

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天神 真理(てんじん・まり)

執筆者紹介

天神 真理(てんじん・まり)

人事DXライター/研修講師

人と組織の成長をテーマに、採用・教育・評価制度を解説するスペシャリスト。
「やわらかいけど芯がある」文章で、制度だけでなく人の気持ちに寄り添う記事を執筆。
心理学の知見を活かし、実務に使える人材育成ノウハウを届ける。

趣味:歌舞伎鑑賞/心理学書の読書/紅茶集め

■出身地
福岡県福岡市中央区

■学歴
1992年 福岡県立筑紫丘高等学校 卒業
1996年 九州大学 教育学部 卒業

■経歴
1996年 人材サービス会社 人事コンサルタント…採用・制度設計を担当
2006年 研修会社 講師…新人研修・管理職研修の企画運営
2015年 独立 HRアドバイザー…人材育成・評価制度改革を支援
2025年 「ChotGPT Fukuoka」専属ライター…人事DX・人材育成記事を担当

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