「会社は継いだけど、ホームページの更新ができん……」
「先代が亡くなってから、ネット銀行にログインできんくなった……」
福岡の事業承継の現場で、今まさに多発しているのが、こうした「デジタル遺産」のトラブルです。2026年、会社の価値は土地や建物だけやなく、ドメインやSNSアカウント、ネット銀行といった「目に見えない資産」に大きく依存しています。
今回は、ITに疎い経営者さんでも今のうちに必ず確認しておくべき「事業承継の盲点」を、福岡の実例ベースで解説します。
この記事のポイント
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デジタルも会社の資産
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ドメインやSNS、ネット銀行は「登記簿に載らない重要資産」です。
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個人名義は危険
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先代個人に紐づいた契約は、引き継げず会社が止まる原因になります。
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付箋管理は限界
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紙のパスワード管理は、承継でもセキュリティでも大きなリスクです。
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IT棚卸しが必須
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事業承継では「IT契約の棚卸し」も避けて通れません。
「ホームページが見られない!」先代亡き後に起きるITトラブル
ある日突然、会社のホームページが表示されんようになる。実はこの原因の多くが、ドメイン(URL)の契約が「先代の個人名義」になっていることです。
実際に起きている最悪のシナリオ
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ドメインの更新時期が来る。
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通知メールが、誰も見ていない「先代の個人メール」に届く。
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支払いができず、ドメインが失効。
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第三者に買われ、会社のURLが怪しい海外サイトに変わる。
こうなると、長年積み上げたSEO(検索順位)や信用は一瞬でゼロです。2026年の集客において、ドメインは「会社の登記簿」と同じくらい重要になっています。
今すぐ確認:
・ドメインの管理画面にログインできるか
・登録メールアドレスが「会社の共用アドレス」か
・支払いが「法人カード」になっているか
ID・パスワード管理を「付箋」から卒業しよう
「パスワードは黒い手帳に書いとう」「モニターに付箋で貼っとる」。これは2026年の基準では、金庫の暗証番号を玄関に貼っとるのと同じです。
付箋管理が引き継げない理由
- 紛失:片付けの際に、重要情報ごと捨ててしまう。
- 二要素認証の壁:先代のスマホに認証コードが飛び、ログイン不能。
- 盗み見リスク:社員や来客に情報が漏れる可能性。
解決策:パスワード管理ソフト
1PasswordやBitwardenといったパスワードマネージャー(ID・パスワードを安全に保管する仕組み)を使いましょう。
マスターパスワード1つだけを後継者と共有すれば、何十・何百ものログイン情報を安全かつ確実に引き継ぐことができます。
注意:紙に書き写すのは「一時しのぎ」にしかなりません。仕組みで管理することが重要です。
2026年に必ず確認したいIT契約チェックリスト
借入金や在庫は確認しても、IT契約の棚卸しを忘れる会社が非常に多いです。以下を見ながら、自社の状況をチェックしてみましょう。
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項目 |
確認すべき内容 |
放置リスク |
|---|---|---|
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ドメイン・サーバー |
名義は法人か/支払いは法人カードか |
サイト消失、メール不可 |
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クラウド会計・給与 |
管理者権限を後継者が持っているか |
決算不能、給与遅延 |
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公式LINE・SNS |
個人スマホで管理していないか |
顧客接点の喪失 |
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ネット銀行 |
電子証明書・承認ルートの確認 |
資金凍結 |
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サブスク |
使っていない契約が残っていないか |
無駄な支出 |
2026年の鉄則:
契約主体は「個人」から「法人」へ。
支払いは「個人カード」から「法人カード」へ。
これだけで、リスクは大きく下げられます。
まとめ:デジタル資産整理は最大のリスク管理
「ITは若手に任せとうけん大丈夫」――その若手が辞めた時、会社が止まるようでは承継は失敗です。
今のうちに、「会社のデジタル資産マップ」を1枚の紙に書き出してみましょう。ドメイン、銀行、SNS、クラウド。これが、2026年を生き抜くための新しい家系図になります。
- デジタル資産も立派な会社の財産です
- 個人名義のIT契約は必ず整理が必要です
- IT棚卸しは、事業承継の必須作業です
次にやること:今日中に「ホームページ」「ネット銀行」「公式LINE」の3つだけ、誰が管理しとるかを書き出しましょう。