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「実家の会社がアナログすぎる!」2代目が衝突せずにIT化を進める手順

「実家の会社がアナログすぎる!」2代目が衝突せずにIT化を進める手順

「親父、もう紙で管理するのはやめようや」「バカもん!現場はこれで30年やっとると。お前に何がわかる!」

福岡の二代目・後継者のみなさん、実家に戻ってきて最初の一言で、こんな親子喧嘩を勃発させていませんか? 2026年現在、福岡県内の事業承継の現場で最大の課題となっているのは、資金でも技術でもなく、先代(アナログ)と後継者(デジタル)の価値観のズレです。

この記事では、福岡県事業承継・引継ぎ支援センターやDX推進センターのアドバイスを参考にしつつ、ITが苦手な先代や古参社員と「喧嘩せずに」会社を新しくしていくための、賢いステップを解説します。

この記事のポイント

最初からDXと言わん

先代には恐怖の呪文になりやすいので、「ラクになる道具」から入ると進みます。

スモールスタートが正解

会社全体ではなく、自分の周辺だけを先に整えると揉めにくいです。

ベテランは不便解消で味方になる

効率化より、老眼・腰痛などの困りごと解決が刺さりやすいです。

二代目は翻訳者になる

業者の言葉を博多弁と現場用語に噛み砕いて伝える役が重要です。

最初から「DX」と言わない。まずは自分がラクになるから始める

「DX(デジタルトランスフォーメーション:仕事のやり方をデータ中心に変えること)」という言葉は、ITに馴染みのない先代にとって「高い金を使って、今までのやり方を否定される」恐怖の呪文に聞こえがちです。だから最初は、言葉もやり方も、ぐっと小さく始めましょう。

成功の合言葉は「私のわがまま」

2026年の定石は、会社全体を一度に変えないことです。まずは「自分が困っとる」から入ると、先代の反発が出にくいです。

  1. 自分の周辺だけをIT化する:自分のスケジュール、自分のメモ、取引先に送る見積書だけを、こっそりクラウド(ネット上で保存・共有する仕組み)に寄せます。

  2. 見せるだけで強要しない:先代が「あの件どうなっとったか?」と聞いてきた時に、スマホでサッと見せて「自分はこれで管理しよるけん、すぐ分かるとですよ」と便利さを目撃させるだけにします。

ポイント:先代を説得するより、便利さを見せて気づかせる方が早いです。

よくある失敗

最初に「全部変えましょう」と言うと、先代は「全部否定された」と感じやすいです。やることは逆で、変えるのは道具だけ、守るのは先代のやり方の良さ、という順番にしましょう。

古参社員を味方につける。彼らの不便を解消するツール選び

会社を支えてきた古参のベテラン社員は、新しい仕組みで「仕事がなくなる」「恥をかく」ことを恐れやすいです。だから正面から「効率化」を押すより、先に不便の解消を出すと味方になりやすいです。

効率化ではなく老眼・腰痛対策

2026年のDX現場で効くのは、意外にも「身体の不便をITで補う」アプローチです。

  • 字が小さくて読みづらい:iPadで図面を拡大できるようにします。
  • 腰が痛くて書庫まで行くのがきつい:書類をスキャンして、座ったまま検索できるようにします。
  • 計算機を叩くのがしんどい:写真を撮るだけで合計が出るAI(画像から文字を読み取る仕組み)を渡します。

ポイント:「古臭いからダメ」やなくて、ベテランが長く働けるようにしたいで提案すると、空気が変わります。

一人が「これ、よかね」と言ったら勝ち

ベテランが一人でも「意外とよかね」と言い始めると、現場の空気が変わります。福岡の職場は、会議よりも休憩室のひと言が強いです。

若手後継者コミュニティで聞く成功と失敗の分かれ道

天神の福岡 Growth Next(FGN)や、県主催のアトツギ向けイベントでは、二代目たちの本音がよく出ています。そこで語られる成功の共通点は、シンプルに一つです。

二代目の仕事は「翻訳者」になること

ITツールを入れる時に、メーカーの営業マンをいきなり先代や現場に当てると、失敗しやすいです。専門用語が多いほど、先代は「分からん!」となりやすいからです。

  • 失敗するパターン:専門用語だらけの説明で、先代が怒って終了します。
  • 成功するパターン:二代目が一回噛み砕いて、博多弁と自社の業界用語で説明します。

注意:二代目が「業者の通訳」になると、先代は安心しやすいです。逆に、業者の言葉がそのまま飛ぶと、先代は防御反応が出やすいです。

先代の原理原則を「守るため」に道具を変える

先代が30年守ってきた商売の原理原則と、最新のデジタル道具。この2つを繋げられるのは、外部のコンサルでも業者でもなく、あなたです。ここが二代目の一番おいしい役目です。おいしいだけに、二代目がうまく噛み砕く必要があります。噛み砕くだけに、ガム…いや、ここは勘弁しましょう。

まとめ:IT化は先代へのリスペクトから

2026年、アナログな実家の会社を変えるのは、最新のAIを入れることではありません。先代が守ってきたものを、これからも守り続けるために、道具だけをアップデートするという姿勢を見せることです。

  • 最初からDXと言わず、「自分がラクになる」から始めましょう
  • ベテランには効率化より「不便の解消」が刺さりやすいです
  • 二代目は業者の言葉を現場の言葉に翻訳しましょう

次にやること:先代に「全部変えよう」ではなく、「まず俺がこれで管理してみるけん、見てて」と言って、自分の周りだけ1つデジタル化しましょう。

もうちょっと知りたかなら、サクッとメールばちょうだい。

糸島 歩(いとしま・あゆむ)

執筆者紹介

糸島 歩(いとしま・あゆむ)

DX設計者/DX解説ライター

地域の中小企業の現場を30年追い続けてきた編集者。
「むずかしいDXを、現場の言葉に翻訳する」が持ち味。
記事だけでなく、構成テンプレ・用語の言い換え辞書まで整える職人気質。

趣味:糸島ドライブ/磯あそびと子ども科学館めぐり/コーヒー焙煎少々

■出身地
福岡県糸島市

■学歴
1991年 福岡県立修猷館高等学校 卒業
1995年 九州大学文学部 卒業

■経歴
1995年 地方紙 経済部記者(福岡)…製造・建設・流通の中小企業を取材
2005年 事業会社 広報/オウンドメディア立ち上げ…BtoB記事と導線設計
2012年 フリー編集者…採用広報・事例記事・ホワイトペーパー制作
2018年 IT/SaaS企業 コンテンツストラテジスト…DX導入事例とHow-to量産
2025年 「ChotGPT Fukuoka」専属ライター…“ちょっとDX”の入門・事例・制度解説を統括

目次

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