福岡の会社を"ちょっと"ラクにするローカルDXメディア

福岡市の天気 天気アイコン

Excelで顧客名簿を管理してない?“探せない・更新されない”問題

Excelで顧客名簿を管理してない?“探せない・更新されない”問題

「Excelで名簿は作れているけど、最新かわからん」「名前はあるけど連絡先が見つからん」——福岡の現場でもよく聞くお悩みです。入力する人が多いほどバラつきが出て、探せない・更新されない問題が起きやすくなります。この記事では、今日からできるExcelの応急処置と、小さく始める“更新され続ける顧客管理”の作り方がわかります。難しい言葉は使わず、手順に沿って進められるように整えました。肩の力を抜いて読み進めましょう。

この記事のポイント

なぜ探せないのか

列の設計や入力ルールがないと検索が効かず、更新も滞りやすくなります。まず原因を見える化しましょう。

今日からできる応急処置

列の固定、入力規則、更新ルールの3点を整えるだけで「探せない」を大きく減らせます。福岡の現場例で確認できます。

小さく始める仕組み化

クラウド台帳(ネット上の名簿)を使うと、履歴や権限が自動で管理できます。月数千円から始められます。

福岡の現場でのイメージ

商店街や卸、サロンの例で、どの列が必要か・誰が更新するかを具体的に確認できます。

つまずきやすい所

「項目を盛り込みすぎ」「担当が不明」「移行の手間が重い」が代表格です。避け方も紹介します。

Excelの顧客名簿で“探せない・更新されない”が起きる理由

Excelは万能に見えますが、顧客管理は「同じ項目で、同じ書き方で、誰が見てもすぐ探せる」ことが命です。ここが崩れると、最新の名簿にたどり着けず、更新されないまま放置されます。

よくある原因を3つに整理

  • 項目がバラバラ:会社名と担当者名が同じ列、住所が1セルに詰め込み、電話の表記ゆれ
  • 誰が更新するか不明:営業も事務も触るが責任が散らばる
  • ファイル分散:部署ごと・人ごとに最新版が増殖

「項目」「役割」「置き場所」の3点がそろえば、探せない問題は半分解決できます。

用語ミニ解説:マスタ(名簿の元帳)

マスタとは、全員が参照する元の名簿のことです。ここを一つに決め、そこだけを更新しましょう。

福岡の例でイメージ

例えば博多の明太子卸では、店舗名/担当者名/直通電話/発送先郵便番号/定休日が肝になります。これらが混在していると、土曜配達の可否を探すだけで時間がかかってしまいます。

今日からできるExcelの応急処置

すぐに道具を変えなくても、Excelの中で「探せる・更新される」状態に近づけられます。

列の設計を固めましょう

  1. 顧客ID(重複しない番号)を左端に作成
  2. 会社名/部署/担当者名を別の列に分ける
  3. 郵便番号・住所・建物名を分割して入力
  4. 電話は数字のみ(ハイフンなし)で統一
  5. 表として書式設定(Ctrl+T)を使い、見出し行を固定

入力規則(決まった書き方の仕組み)を入れましょう

  • プルダウン(あらかじめ選ぶ方式):業種、ランク、担当営業(データタブ→データの入力規則
  • 必須チェック:顧客ID・会社名・電話(空欄なら色をつける条件付き書式も使えます)
  • 日付は「YYYY/MM/DD」で統一

更新ルールを紙1枚で決めましょう

「誰が」「いつ」「どの列」を更新するかを明文化します。例:新規登録は営業、住所変更は事務、最終確認は月末に課長

  • 更新のきっかけ:電話番号変更、退職連絡、新規取引開始 など
  • 更新の締切:毎週金曜の終業前、または月末
  • 記録:最終更新日/最終更新者を必ず入力

福岡の例:大橋の美容室

会員カードの情報をExcelにまとめるなら、顧客ID/名前(カナ)/電話/来店周期/担当スタイリストの5列に絞るだけで予約確認がぐっと早くできます。

ファイルは「共通フォルダのひとつだけ」に置き、名前は「顧客マスタ_2025.xlsx」など規則化しましょう。バックアップとして同名の「_bk」を週1回だけ保存しておくと安心できます。

“更新され続ける”仕組みへ:小さく始めるクラウド台帳

Excelで限界を感じたら、クラウド台帳(ネット上で共有する名簿)に移し替えると、履歴や権限、検索が自動で整います。専門用語で言うCRM(顧客情報を一元管理する仕組み)ですが、最初は欲張らず台帳一本から始めましょう。

最小構成で始めましょう

  • 台帳:顧客基本情報(ID・社名・電話・担当)
  • 履歴:やり取りの記録(日付・内容・担当)
  • 権限:編集は営業と事務、閲覧のみは他部署

福岡の例:商店街の卸

配達先の定休日や搬入口の注意を書き残しておくと、新人さんでも翌日から回れます。「現場の知恵が残る」のがクラウドの強みです。

費用感と効果

月あたり数千円規模でも、検索の時間短縮・取りこぼし防止・引き継ぎの安心が得られます。まずは1部署で試し、よければ全社へ広げましょう。

クラウド台帳の具体像と選び方(例と操作の目安)

「どこからでも同じ名簿を安全に開けて、履歴が残る置き場所+台帳」をまとめてクラウド台帳と呼びます。主な型は3つです。自社の慣れや人数に合わせて選びましょう。

① スプレッドシート型

Googleスプレッドシートで同時編集と変更履歴が使えます。共有リンクで外部とも共有できます。
福岡のたとえ:薬院の小さな卸では、別シート「履歴」に日付・担当・要件を追記するだけで、誰がいつ対応したかが一目で探せます。

操作メモ:データ保護範囲で重要列の編集を制限できます。

② Excelオンライン型(OneDrive/SharePoint上のExcel)

いまのExcelをそのままクラウドに置いて共同編集できます。関数や見た目がそのまま使えるのが利点です。
福岡のたとえ:春日市の部材メーカーは、編集=営業・事務、閲覧のみ=製造に分けて、最新版をひとつに集約できます。

操作メモ:同時編集中はできるだけExcel for the webに統一しましょう。

③ 台帳アプリ型(軽いCRM)

フォーム入力・自動履歴・権限が最初から揃います。スマホ更新も楽です。
福岡のたとえ:天神のサロンは、顧客ID・電話・来店日を必須化し、受付がスマホで更新できます。

選び方の目安:今のExcelを崩したくない→②/費用最小で共有したい→①/履歴・権限を厳格に→③

Excelからクラウド台帳へ:無理なく移行する手順

いきなり全部は変えず、小さく作って回して直すやり方で進めましょう。パソコンが得意でない担当者でも、手順通りに進めれば移行できます。

ステップ0:まずは守りを固める(5分)

  1. Excelの元ファイルを右クリック→コピー→同じフォルダに貼り付け
  2. コピーした方の名前を顧客マスタ_2025_bk.xlsxにする
  3. 元ファイルを開き、ファイル情報ブックの保護読み取り専用を推奨にチェック

ポイント:バックアップは「触らない箱」。困ったらそこに戻れます。

ステップ1:列名と書き方をそろえる(15〜30分)

シートの一番上に、下の必須5項目を左から並べます。顧客ID/社名/電話/担当/最終更新日。その後に、部署/郵便番号/住所などを続けます。

具体的な直し方

  • 電話:セルを選択→ホーム検索と選択置換で「-」を空欄に置換(ハイフン除去)
  • 日付:列を選択→右クリック→セルの書式設定ユーザー定義yyyy/mm/dd
  • 重複削除:データ重複の削除顧客IDにチェック

顧客IDが無い行は、左端に1から連番で構いません(例:10001, 10002…)。

ステップ2:入力ミスを防ぐ仕掛け(10分)

  • 担当のプルダウン:担当者一覧を別シート「設定」に作成→データデータの入力規則リスト→範囲に「設定!A:A」
  • 必須の赤色表示:ホーム条件付き書式新しいルール→「次の数式を使用」→=LEN(A2)=0のように空欄を色付け

ステップ3:CSV(UTF-8)で保存する(3分)

  1. ファイル名前を付けて保存ファイルの種類CSV UTF-8(コンマ区切り)を選ぶ
  2. 名前は顧客マスタ_2025_export.csvにする(Excel本体はそのまま残る)

保存後に「機能が失われる可能性」などの表示が出ても、元のExcelは残るので心配いりません。CSVは読み込み用の一時ファイルです。

ステップ4:クラウド台帳に読み込む(10〜20分)

使うサービスによって言い方は違いますが、流れは同じです。

  1. クラウド台帳にログイン→インポート/アップロードを開く
  2. 顧客マスタ_2025_export.csvを選択
  3. 「列の対応」を確認(例:社名→社名、電話→電話)。1つでもズレていたら戻って直す
  4. 試しに10件だけ読み込む設定があれば、それを選ぶ(全件はまだやらない)

ステップ5:1週間の小さな運用テスト(毎日5分)

  • 役割固定:登録=営業A、更新=事務B、確認=課長C
  • 毎日のチェック:新規1件登録/1件検索/1件更新を3人で回す
  • 困りごとメモ:郵便番号の桁不足/担当の選択肢不足/検索キーワードなどを書き溜める

コツ:「誰でも1日3回(登録・検索・更新)を回す」と、1週間で慣れます。小さく回して直し、定着させましょう。

ステップ6:本番へ移行し、旧Excelは“見るだけ”に

  1. テスト結果を反映して台帳の項目と権限を確定(編集可/閲覧のみ
  2. Excel元ファイルは閲覧専用にし、名前を顧客マスタ_OLD.xlsxに変更
  3. 共通フォルダのショートカット名を顧客マスタ(クラウド)に統一し、社内に周知

チェックリスト

  • 最新の名簿の置き場所はひとつに決められていますか
  • 必須項目は空欄で保存できないようにしていますか
  • 更新者と期限は決まっていますか(例:月末)
  • 履歴は自動で残りますか
  • バックアップの作成日と保存先は決まっていますか

よくある失敗と対策

  • 項目を盛り込みすぎる → 最初は必須5項目に絞りましょう
  • 担当が曖昧 → 列ごとに責任者を決めましょう
  • 一括移行で混乱 → 部署単位で段階的に移しましょう(まず10件テスト)
  • CSVで文字化け → 保存形式をCSV UTF-8にしましょう
  • 旧ファイルを更新してしまう → 旧Excelを閲覧専用にし、ファイル名に_OLDを付けましょう

福岡の例:製造×卸の二毛作

糸島の加工業者が直販と卸を両方している場合、取引区分(直販/卸)をプルダウンで用意すると、請求形態の違いで迷わず検索できます。月末の請求締めでも担当が迷わず仕分けできます。

用語ミニ解説と現場Tips

カタカナが多いと身構えてしまいますが、現場の言葉に直せば難しくありません。

CRM(顧客情報を一元管理する仕組み)

顧客台帳に「誰が、いつ、何をしたか」の帳面がついたもの、と考えるとわかりやすくなります。探す・更新する・引き継ぐが一気に楽になります。

ワークフロー(決められた流れ)

新規登録→承認→配信許可、のように、順番と役割を道筋にしたものです。紙の回覧板のデジタル版です。担当がいないと止まるので、必ず「代役」も決めておきましょう。

福岡の例:メール配信の同意

天神の小売では、会員登録時に配信可否をチェックしておくと、販促メール(お知らせ)を送る際に迷いません。断られた場合は履歴に残し、次回の声かけをやめることでクレームを防げます。

まとめと次にやること

“探せない・更新されない”を放置すると、問い合わせ対応や引き継ぎで時間が溶けてしまいます。今日から一歩ずつ整えていきましょう。

  • Excelでも「項目・役割・置き場所」を決めれば探せるようになります
  • クラウド台帳にすると履歴・権限・検索が自動で整います
  • 移行は必須5項目→小さく試す→直して広げるがコツです

次にやること:自社のExcel名簿を開き、左端に顧客ID列を追加し、必須5項目を決めましょう。
そのうえで、バックアップ(_bk)を作成し、CSV(UTF-8)で保存できるかを今日中に確認しましょう。

もうちょっと知りたかなら、サクッとメールばちょうだい。

小倉 直樹(おぐら・なおき)

執筆者紹介

小倉 直樹(おぐら・なおき)

業務改善ライター/元SE

紙とExcelを卒業するための実務的な工夫を得意とする。
「仕組み化で人に頼らない現場づくり」をテーマに、効率化事例やツール導入のノウハウを紹介。
几帳面な性格から、記事内でも「チェックリスト化」「手順分解」にこだわる。

趣味:釣り/Excelマクロ収集/家電リサーチ

■出身地
福岡県北九州市

■学歴
1990年 福岡県立東筑高等学校 卒業
1994年 九州工業大学 情報工学部 卒業

■経歴
1994年 SIer勤務 システムエンジニア…中小企業の基幹システム構築
2004年 事業会社 情報システム部…社内業務の効率化・RPA導入
2013年 独立コンサルタント…バックオフィス改善・業務標準化支援
2025年 「ChotGPT Fukuoka」専属ライター…紙業務のDX・仕組み化事例を担当

目次

    DX、AIのコトを
    ちょっと相談できます。
    話を盛るのは苦手です。
    真面目に答えます。