「紙の申請書、ハンコのためだけに出社…正直もうきついばい」と感じていませんか。忙しいのに、回覧や差し戻しで手続きが長引くと、現場も経営もモヤモヤしますよね。この記事では、紙の申請書・稟議書をやめて、承認フローをクラウド(インターネットで使うサービス)に移すと何が良くなるか、福岡の中小企業でも無理なく始められる手順まで、やさしく具体的に解説します。読み終えるころには、最初の一歩がはっきり見えてきます。
この記事のポイント
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紙のムダを一気に削減
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印刷・押印・回覧の時間と費用を減らせます。迷子の書類がなくなり、対応が早くなります。
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見える化で判断が早い
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どこで止まっているかが画面で一目でわかります。承認者の不在でも代理で進められます。
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小さく始めて失敗しにくい
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旅費精算など単純な申請から始めて、慣れてから範囲を広げられます。
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法対応もしっかり
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改ざん防止や履歴管理で、監査や取引先の要求にも準備できます。
紙から卒業する理由
紙の申請は、作成→印刷→押印→回覧→保管と、手数が多くミスも起きやすいです。クラウド化すると、申請・承認・保管が同じ画面で完結します。外出中でもスマホで確認できますし、履歴が残るため後からチェックもしやすくなります。
よくある誤解
「クラウドは高そう」「大企業向けやろ?」という声をよく聞きます。実際は、月額の少額から始められるサービスが多く、ユーザー数に合わせて拡張できます。自社サーバーの準備も不要です。
用語ミニ解説
ワークフロー(申請から承認までの流れを電子化する仕組み)、SaaS(必要なときにネット経由で使うソフト)、シングルサインオン(1回のログインで複数のシステムに入れる仕組み)など、難しく見えますが、使う側は画面の指示に沿って操作するだけで大丈夫です。
具体例
たとえば、博多の卸売会社さん。これまで仕入れ値変更の稟議が紙で3日かかっていました。クラウド化で承認が半日になり、午後の商談に間に合うようになりました。社外の営業さんもスマホで承認依頼を出せるため、移動が多くても止まりません。
クラウド承認フローの基本
クラウド化の基本は「だれが」「何を」「どの順番で」承認するかを画面上に決めることです。ひな形(テンプレート)を作ると、同じ形式で申請でき、ミスが減ります。
最小セット
申請フォーム・承認ルート・通知・保管の4点があれば回ります。追加で、金額条件で承認者が変わる分岐や、代理承認の設定ができると実務が楽になります。
チェックリスト
- 申請項目は必要最小限か(入力が長すぎないか)
- 金額や部門で自動的に承認ルートが切り替わるか
- メールやアプリ通知で見逃しを防げるか
- 履歴・改ざん防止・アクセス権が設定できるか
- 保管と検索が簡単か(年度・案件名などで探せるか)
具体例
糸島の食品加工会社さんは、原材料の緊急発注だけ「部門長→社長」の短いルートに設定。通常発注は「担当→課長→部門長」に分け、状況に合わせた承認ができるようになりました。
注意点
はじめ方(小さく始めて広げる)
いきなり全社で入れ替えず、現場と管理部の両方が関わる1〜2種類の申請から始めます。まずは「紙と並行」で1〜2週間試し、問題がなければ本番に切り替えます。
手順
1)対象を選ぶ
旅費精算や小口稟議のように、ルールが明確・件数が多い・関係者が少ないものがおすすめです。
2)ひな形を整える
紙の項目をそのまま移すのではなく、不要な項目を削って短くします。部門名や取引先はプルダウンにすると入力ミスを減らせます。
3)承認ルートを決める
金額や部門で分岐させます。不在時の代理承認も必ず設定します。
4)テスト&並行運用
3〜5件のダミー申請で詰まりを確認します。最初の1〜2週間は紙と併用して、問題がなければ紙を終了します。
具体例
久留米の建設会社さんは、まず「交通費申請」だけクラウド化。現場監督さんがスマホで申請できるようになり、締め日ギリギリの駆け込みが減りました。2か月後に資材購入、半年後に稟議へと広げました。
よくある失敗
- 紙の項目をそのまま詰め込み、フォームが長すぎる
- 承認者が多く、かえって遅くなる
- 現場への周知不足で、いつから何をクラウドにするかが曖昧
無料でまず動かす方法(小さく試して効果を確認)
費用をかけずに「申請→承認→通知」を回すには、Googleフォーム(申請)+スプレッドシート(台帳)+Apps Script(自動通知)の三点が手堅いです。最短で形にして、現場の手応えを確かめましょう。
最短セットアップ手順
1)申請フォームを作る
申請者名・部門・内容・金額・添付用リンク(必要なら)を用意します。入力は最小限にして、部門名などはプルダウンにしましょう。
2)回答を台帳に流す
フォームの回答先をスプレッドシートに設定します。台帳側に「ステータス(未承認/承認/却下)」「承認者」「コメント」の列を追加します。
3)通知を自動化する
Apps Script(グーグルの自動処理機能)で、送信時に承認者へメール、承認欄が更新されたら申請者へ結果通知が飛ぶようにします。最初はメールだけにして、慣れたらチャット通知などを足しましょう。
4)権限と見える化
台帳の共有権限を「承認者だけ編集可、他は閲覧のみ」にします。ピボット表やフィルタ表示で「未処理だけ」を見られるようにすると捌きやすくなります。
無料でできる範囲とコツ
- 対象は備品購入・旅費精算・小口稟議などルールが明快なものにしましょう
- 差し戻しは「コメントを必須にして再申請」の運用で代替できます
- 履歴はシートの変更履歴で確認できますが、監査用途には限界があります
福岡の具体例
志免の物流会社さんは、備品購入だけをこの方法で開始。紙ゼロ・回覧ゼロで翌日承認が当たり前になりました。2か月後、件数が増えたため有料クラウドに移行し、承認分岐とスマホアプリを追加しました。
有料クラウドの相場感と選び方(中小企業向け)
費用をかけると、権限・履歴・モバイル・分岐設定がぐっと楽になります。ここでは、よく使われる国産サービスのだいたいの料金感と選び方を整理します。
主な価格帯(目安)
- グループウェア一体型:月額 500〜800円/人前後(5ユーザー〜)。ワークフローに加えて掲示板やスケジュールも使えます。
- 業務アプリ型:月額 1,000〜1,800円/人前後(10ユーザー〜)。申請以外に台帳や見積・案件管理も作れます。
- ワークフロー特化型:最低利用 5,000円/月前後〜。申請数やオプションで変動します。
- Microsoft環境の自動化:既に契約があれば追加費用小。単体契約は1人あたり月額数千円台が目安です(為替で変動します)。
失敗しない選定チェックリスト
- 承認分岐:金額・部門・案件種類で自動振り分けできますか
- 代理承認:不在時の代理や期限超過の自動リマインドがありますか
- 権限と履歴:申請ごとの閲覧制限、改ざん防止、詳細ログが備わっていますか
- スマホ:現場でも押しやすい画面になっていますか(片手操作・オフライン下書きなど)
- 連携:会計・勤怠・ファイル保管と連携できますか(CSVでも可)
- 運用コスト:フォーム作成や分岐変更を自社で回せますか(外注前提になっていませんか)
費用の考え方(合計で見る)
月額だけでなく、初期設定の工数・トレーニング・周知も含めて考えます。標準テンプレートを使えば初期費用は抑えられますし、まずは対象申請を絞ったトライアルで効果を確認しましょう。
福岡の具体例
那珂川の製造業さんは、最初は交通費・備品の2種類だけを有料クラウドで運用。1ユーザー月1,000円台のプランを10名で開始し、半年で稟議と発注にも拡張しました。承認分岐とスマホ通知で、決裁が平均2日→半日になりました。
運用とセキュリティを両立する
スムーズに回しつつ、情報を守ることも大切です。権限設定やログ(操作の記録)がしっかりした仕組みを選び、ルールを決めて運用します。
最低限の守り
- 役割ごとの権限(閲覧・編集・承認)を分ける
- 二要素認証(パスワードに加えて確認コード)を使う
- 退職・異動時にアカウントをすぐに停止できる体制
具体例
小倉の小売店さんは、店舗スタッフは申請のみ、本部は承認・閲覧、経理は出力権限のみと分けました。見てよい人だけが見られるので安心です。
用語ミニ解説
アクセス権(見たり触ったりできる範囲)、ログ(誰がいつ何をしたかの記録)、二要素認証(追加の本人確認)など、設定しておけば日々は意識せずに守れます。
まとめと次にやること
紙からクラウドへ移すと、スピード・コスト・安心の三つが改善します。難しそうに見えて、最初の一歩は小さくて大丈夫です。
- 紙の手続きは、クラウド化で申請〜承認〜保管が一気通貫になります
- まずは頻度が高く単純な申請から始めると、失敗しにくく効果が見えやすいです
- 権限やログを設定すれば、運用とセキュリティを両立できます