「広告を増やしたわけでもないのに、気づけば問い合わせが増えている」。そんな会社は、実は運やセンスだけではありません。社内の情報の流れや、見込み客との接点を仕組みとして整えているからこそ、じわっと問い合わせが増えていきます。本記事では、福岡の中小企業でも今日から始められる「問い合わせが自然に増える仕組み化」の考え方と具体策を、やさしく説明します。
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まずは受け皿を整える
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電話・メール・フォーム・LINEの窓口を一本化し、取りこぼしをなくせます。窓口の表示場所と応答時間を明確にしましょう。
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見込み客の不安を先に解消
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価格目安、納期、事例、よくある質問を先回りで見せると、問い合わせ率が上がります。小さな実績でも十分効果があります。
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記録とフォローを自動化
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CRM(顧客情報を一元管理するしくみ)とMA(見込み客との連絡を自動化するしくみ)を使い、抜け漏れを減らせます。
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小さく作って回す
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3週間で「窓口統一→見える化→自動返信」まで作り、数字で改善できます。大がかりな投資は不要です。
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福岡ならではの強みを見せる
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地元のスピード対応や対面の安心感を、事例と写真の一言で伝えましょう。土地勘が伝わると信頼につながります。
問い合わせが自然に増える会社の共通点
共通するのは「迷わず連絡できる導線」と「不安を減らす情報」がセットで整っていることです。さらに、問い合わせ後の記録とフォローが自動で回るため、温度感が下がる前に次の一手を打てます。
連絡しやすさ:入口は太く、迷いなし
電話番号、問い合わせフォーム、LINE(仕事用の連絡窓口)をサイトの全ページに常時表示し、どれで連絡しても同じ箱へ届くようにできます。受付時間と返答までの目安を明記しましょう。
不安解消:価格・納期・事例の先出し
料金は目安でも十分です。納期の幅や、過去の対応範囲(できること・できないこと)をQ&Aで示すと、相談ハードルが下がります。
福岡の具体例:天神の内装業A社
「概算価格表」と「工期の目安」をサイトに追加し、LINEでの写真送付受付を開始。問い合わせ前の電話が減り、フォーム経由の相談が1.8倍になりました。地場の店舗(薬院・今泉など)事例を3件載せて安心感を出せます。
仕組み化の全体像(小さく始めて回す)
大きなシステムをいきなり入れるのではなく、まずは「受け皿→記録→自動返答→フォロー」の最小セットを作ります。これで「取りこぼしゼロ」と「即レスの安心」を両立できます。
全体フローの基本形
①入口統一 → ②自動返信(受付完了と次の流れ) → ③担当へ自動割り当て → ④進捗可視化 → ⑤フォロー配信(お礼・事例・見積の案内)という流れを作れます。
ミニ用語解説:CRM/MA/RPA
CRM(顧客情報を一元管理するしくみ)
問い合わせ内容・会社名・担当者・履歴をひとつにまとめ、誰でも状況を把握できます。
MA(見込み客との連絡を自動化するしくみ)
資料送付・お礼・リマインドを自動で送り、温度が高い人だけ営業に渡せます。
RPA(定型作業を自動化するしくみ)
メールの振り分けや台帳への転記など、人が毎回同じ操作をする作業を自動化できます。
福岡の具体例:糸島の食品B社
ギフトの問い合わせが繁忙期(お中元・お歳暮)に集中。フォーム→CRM→自動返信→在庫アラートまでを連携し、電話の取り次ぎ時間を半減できました。
まずはゼロ円で始める“ミニCRM”の作り方
いきなり高機能なCRM(顧客情報を一元管理するしくみ)を用意しなくても大丈夫です。まずは無料ツールをつないで「集める→記録→返す→追う」を回せます。慣れてから、必要な部分だけ本格ツールに置き換えましょう。
手順(3時間で形にする)
STEP1|入口を作る
Googleフォームで「会社名・お名前・連絡先・相談内容・希望時期」を作成し、不要な個人情報は聞かない設計にします。回答先をスプレッドシートに連携しましょう。
STEP2|記録を自動で並べる
スプレッドシートに「受付日時/担当/ステータス(未返信・対応中・完了)/次回連絡日」を列で用意し、フォームからの回答が1行ずつ追加されるようにできます。
STEP3|即レスを仕組み化
Gmailの自動返信とテンプレ(保存済み返信)で「受付しました/◯時間以内にご連絡します/参考事例はこちら」を定型化します。一次返信の質と速度をそろえられます。
STEP4|見える化で漏れを防ぐ
Trello(カードで進捗を管理する無料ツール)に「未返信/対応中/見積待ち/完了」のリストを作成し、毎朝5分で全カードを確認します。
メール定型文(そのまま使えるひな形)
本文:「この度はありがとうございます。本日中(または◯時間以内)に担当より詳細をご案内します。まずは参考事例(価格目安・納期)をご確認ください。急ぎの際はお電話(◯◯-◯◯)でも承ります。」
福岡の具体例:糸島の食品店A社
観光シーズンに問い合わせが集中。フォーム→表→自動返信→Trelloの流れに切替え、一次返信が平均30分以内に。受取場所(前原・志摩)をフォームで選べるようにして、やり取り回数を減らせました。
ゼロ円チェックリスト
- フォームはサイトの全ページから1クリックで開けるか
- 自動返信に「返信目安時間」と「次の流れ」を書いたか
- スプレッドシートに「担当・次回連絡日」の列があるか
- Trelloで毎朝の確認ルール(5分)を決めたか
- 価格は目安の幅で先出ししているか(例:福岡市内◯〜◯万円)
よくあるつまずきと回避策
- 窓口が増えて迷子→フォームに一本化し、電話・メールはフォームに誘導します。
- 返信が遅れる→テンプレ+Trelloの朝礼確認でスピードをキープします。
- 入力が少ない→項目を最小限にして、地元事例リンクで安心感を足します。
今日からできる具体策と手順
以下は3週間で回せる実践手順です。専門知識ゼロでも、順番通りに進めるだけで「受け皿〜フォロー」まで形にできます。
手順① 入口を一本化する
サイト上の「電話・フォーム・LINE」をヘッダー/フッター/問い合わせページに常時表示します。どれから来てもCRMに自動登録される設定にしましょう。
手順② 自動返信とQ&Aの整備
受付直後に「受付しました/返信は◯時間以内/まずはこの事例をご覧ください」を自動送信できます。Q&Aには価格目安・納期・対応範囲・担当の顔写真(または役割)を入れましょう。
手順③ フォローの仕組みを作る
未返信・保留・見積中・受注済の4ステータスで進捗を見える化し、3営業日反応がない場合は自動でお礼と追加事例を送信できます。
福岡の具体例:博多の製造C社
展示会後に名刺をまとめて撮影→CRM登録→「工場見学の案内」メールを自動送信。久留米・北九州の事例を入れたところ、見学申し込みが前回比2.3倍になりました。
チェックリスト(初期設定)
- 窓口の表示位置は全ページにあるか
- 受付後◯時間以内の返信目安を明記したか
- 価格目安・納期・対応地域を掲載したか
- 事例は地名入りで3件以上あるか(例:大野城の…)
- CRMで重複登録が起きない設定になっているか
- 未返信の自動アラートがあるか
よくある失敗と対策
「仕組み」を作ったのに成果が出ないときは、たいてい入口が複雑・情報が不足・記録が分散のいずれかです。小さく直して回せば改善できます。
失敗1:窓口を増やしすぎて誰も見ていない
対策は「一本化」。担当が変わっても同じ受信箱に届くようにし、社内の見える化ボードで未返信ゼロを保てます。
失敗2:価格が書けず相談が来ない
目安価格(幅)で十分です。「福岡市内の標準工事で◯〜◯万円、郊外は+交通費の目安」など、判断材料を出しましょう。
福岡の具体例:中洲のイベントD社
「予算感は相談」とだけ書いていたため問い合わせが伸びず。プランA/Bの価格帯と、過去の屋台村イベント例を掲載後、見積依頼が増えました。
数字で追う:改善の見える化
毎週見るべき数字はシンプルで十分です。入口〜返信〜受注まで、3つの転換率を見れば「どこを直すか」がわかります。
見るべき指標(かんたん版)
- サイト訪問→問い合わせ率(%)
- 問い合わせ→有効商談率(%)
- 有効商談→受注率(%)
福岡の具体例:北九州の修繕E社
「訪問→問い合わせ」が1.0%で止まっていたため、雨漏り写真の撮り方ガイド(無料配布)を追加。問い合わせ率が1.7%に改善しました。
まとめと次にやること
- 問い合わせが自然に増える会社は、入口の一本化と不安解消の情報整備を同時に進めています。
- CRM/MA/RPAを最小セットでつなぎ、記録とフォローを自動化できます。
- 地元事例と即レスで「福岡らしい安心感」を伝えると、成約までの距離が縮まります。
次にやること:3週間プランを組み、初週で「窓口の統一+自動返信テンプレ+Q&A更新」を一気に仕上げましょう。