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勤怠管理をExcelで集計するムダ、やめませんか?

勤怠管理をExcelで集計するムダ、やめませんか?

「毎月の勤怠、Excelで手作業。時間も神経も持っていかれる…」そんなモヤモヤ、ありませんか? 打刻漏れの追いかけ、式エラー、ファイル取り違え。中小企業こそ、小さなムダが積もって重たくなりがちです。本記事では、Excel集計を卒業して、今ある業務を崩さずに小さく始められる勤怠DXの道筋を、福岡の商いの感覚に合わせてやさしく確認しましょう。

この記事のポイント

Excel集計のムダを見える化

入力・確認・修正の三重作業がどこで発生しているかを具体例で整理できます。隠れたコストまで把握できます。

小さく始めて失敗を避ける

まずは勤怠打刻と承認だけを置き換える手順を示します。既存フローを壊さずに移行できます。

選び方の基準がわかる

必要十分な機能と費用感、サポート体制の見極めポイントをチェックリスト化しましょう。

導入後の定着までを設計

社内周知、ルール整備、データ活用のコツを紹介します。形だけで終わらせない運用を作れます。

Excel集計のどこがムダか、まず把握しましょう

Excelは自由度が高い反面、人が拾う・直す・合わせる工程が増えやすいです。とくに勤怠は「一次入力→確認→修正→再配布→最終集計」と往復が多く、月末月初の負荷が跳ね上がります。ムダの正体を先に言語化しておくと、置き換えの優先度を決めやすくなります。

ムダは「入力」「集計」「共有」の3分類に分けると原因を可視化できます。

現場あるあるの具体例

例えば福岡の製造小売で、博多駅近くの店舗と郊外工場のシフトをExcelでまとめているケース。店は手書き転記、工場は別雛形で入力。本社で月末に統合すると、列ズレや関数の上書きでやり直しが発生します。「この行、誰が直したと?」の確認電話が飛び交い、締めが毎月1〜2日遅れがちです。

よくある誤解

「Excelでもマクロ(作業を自動化する仕組み)を組めば大丈夫」——実際は雛形変更や担当交代で動かなくなりがちです。属人化を招き、作った人が不在だと止まります。避けましょう。

見えるコストと隠れたコスト

見えるコストは作業時間とツール費です。隠れたコストは締め遅延による残業増、労務リスク、二重チェックの精神的負荷です。遅れの連鎖を断ち切りましょう。

はじめての勤怠DXは、ここから小さく始めましょう

全部を一気に変える必要はありません。まずは「打刻→承認→締め」の最短経路だけを置き換えると、短期間で効果を実感できます。

3ステップの手順

①打刻方法を一本化(ICカードやスマホ)しましょう → ②承認フローを固定(上長1名・締め前日まで)しましょう → ③締め日を死守し給与ソフトへ連携しましょう。最初は休暇申請やシフト自動化は後回しで構いません。

チェックリスト

・誰が、どこで、何で打刻するか決まっていますか?
・締めと承認の期限をカレンダー化できていますか?
・打刻漏れ時の連絡先とルールを決めていますか?
・給与ソフトへの出力形式を確認済みですか?

よくある失敗

「最初から全部盛り」で要件が増え、導入が長期化します。まずは勤怠の心臓部だけに絞るとスムーズです。

有給管理やシフト自動作成は第二段階でOK。焦らんでよかです。

無料ですぐにできるアイデア

明日から試せる、小さな改善を積み上げましょう。

  • 打刻漏れゼロ運動:締め前日の17時に全員へリマインドを自動送信できるよう、共通カレンダーに「打刻チェック」を登録しましょう(共有メール・チャットで十分です)。
  • 雛形の固定化:勤怠Excelは編集セルを黄色に統一し、数式セルは保護しましょう。ファイル名は「部門_年月_版数.xlsx」に統一しましょう。
  • 承認ルールの一枚化:A4一枚で「誰がいつ承認するか」を作成し、休憩室や更衣室に掲示しましょう(福岡の店舗ならバックヤードに貼り出すだけでも効果が出ます)。
  • 打刻導線の見える化:打刻場所に床テープで待機ラインを引き、導線を作りましょう。混雑が減り、漏れを防げます。
  • 締め前日ミニ点検:各現場のリーダーが3項目(未承認・打刻漏れ・残業申請)だけをチェックするミニ表を配りましょう。

【追補】無料で始める出勤管理(Googleフォーム+QR/任意でLINE導線)

追加費用ゼロで、Googleフォーム+スプレッドシート+QRを使った出勤管理をすぐ始められます。LINEは導線の一本化に使うだけなので、まずはフォームとQRだけで動かし、慣れてきたらLINEリッチメニューを足しましょう。

考え方:時刻はGoogle側のサーバー時刻で記録し、場所は店舗別QRで証跡化しましょう。

全体像(無料の最小構成)

  • Googleフォーム:出勤/退勤の入力窓口を作成できます。
  • スプレッドシート:回答を自動保存し、月次集計ができます。
  • 店舗別QRコード:入口やバックヤードに掲示し、店舗名をプレフィルできます。
  • (任意)LINEリッチメニュー:フォームURLへの導線を画面下に固定表示できます。
福岡の例:博多駅前店/天神店/糸島工場の3拠点で、それぞれのQRを掲示しましょう。

手順(ノーコードで当日開始)

  1. フォームを作成(1つでOK)
    設問:社員ID(必須)/氏名(任意)/拠点(必須)/区分:出勤・退勤(必須)/メモ(任意)。送信タイムスタンプは自動で記録されます。
  2. スプレッドシートと連携
    フォームの回答先を新規シートにし、回答が自動追記されるようにしましょう。
  3. プレフィルURLを作成
    フォーム右上「…」→「プレフィル回答を取得」。
    例:区分=出勤拠点=博多駅前店を入力→生成URLをコピーしましょう。
  4. 店舗別QRを印刷
    各店舗の「出勤」「退勤」用プレフィルURLをQR化し、入口とバックヤードに掲示しましょう。
  5. 集計ビューを用意
    スプレッドシートでピボットを作成し、
    「日付×社員ID」で最初の送信=出勤/最後の送信=退勤として一覧化できます。
  6. 締め前日の点検
    締め前日17:00に「未退勤」フィルタで確認し、現場リーダーが声掛けしましょう。
直行直帰がある現場は、QRに加えてLINEリッチメニューから同じフォームに飛べる導線も用意しましょう。

フォーム設問サンプル(コピペ用)

  • 社員ID(必須):短い回答
  • 氏名(任意):短い回答
  • 拠点(必須):選択式(博多駅前店/天神店/糸島工場など)
  • 区分(必須):選択式(出勤/退勤)
  • メモ(任意):長文(遅刻理由など)
プレフィルURLで「拠点」「区分」を自動入力すると、現場の手数を減らせます。

スプレッドシートの作り方(最低限)

  1. 回答シート(原本):フォームの回答が時系列で追記されます(上書き禁止)。
  2. 日次整理ビュー:クエリ関数 or ピボットで「日付×社員ID」の最小タイムスタンプ=出勤、最大=退勤に分けましょう。
  3. 月次集計ビュー:社員別に出勤回数・退勤漏れ件数を一覧化できます。
原本データは追記専用にしましょう。集計は別シートで行うと誤編集を防げます。

任意:LINEリッチメニューで導線を固定化

  1. 公式アカウントの管理画面でリッチメニューを作成しましょう。
  2. ボタン配置:「出勤」「退勤」「履歴」。
    出勤/退勤→各店舗のプレフィルURL、履歴→閲覧用シート(閲覧権限に注意)へリンクしましょう。
  3. 将来、Messaging APIへ拡張するときは、このボタンのリンク先を差し替えるだけで移行できます。
QRだけでも運用できますが、LINEボタンを置くと新人や応援スタッフでも迷いません。

運用ルール(A4一枚に絞りましょう)

  • 代打刻の禁止:必ず本人が送信します。
  • 打刻タイミング:入店直後/退店直前に打刻します。
  • 締め前日17:00点検:未退勤者は当日内に修正します。
  • 不具合時の連絡先:店舗リーダー or 本社担当へ連絡します。
掲示場所は更衣室・バックヤード・タイムレコーダー付近にしましょう。福岡の多店舗でも定着しやすくなります。

無料でのチェックリスト

  • QRは店舗内のみに掲示できていますか?
  • フォームは社員ID・拠点・区分が必須になっていますか?
  • 回答のタイムスタンプをサーバー時刻として使えていますか?
  • 原本シートは追記専用で、集計は別シートですか?
  • 締め前日17:00の点検者・対応手順を決めていますか?

費用感(無料構成の目安)

  • Googleフォーム/スプレッドシート:0円
  • QR作成・印刷:数百円〜(社内印刷でOK)
  • (任意)LINEリッチメニュー:0円(管理画面操作のみ)
まずは無料で実証し、効果が見えたらキオスク端末やAPI連携へ広げましょう。

周知テンプレ(そのまま使えます)

出勤・退勤の打刻方法
① 店舗入口のQRからフォームを開きます(LINEの「出勤/退勤」からもOK)。
② 区分と拠点を確認して送信します(氏名は任意、社員IDは必須)。
③ 締め前日17:00の時点で未退勤の方は、当日中に対応しましょう。

ツール選びのコツは“必要十分”の見極めです

派手な機能より、現場で迷わず使えることを第一条件にしましょう。費用は「1ユーザーあたり月額」と「初期設定の支援」を合わせて見ます。

必須機能チェック

・複数拠点の打刻集約/打刻漏れアラート
・シフトと実績の差分確認/残業自動集計
・休日・深夜の自動計算の正確さ
・給与ソフトへの出力(CSV)
・管理者の承認フロー設定(代理承認含む)

用語ミニ解説

SaaS(インターネットで使うソフト)/API(他のソフトとつなぐ窓口)/ICカード打刻(カードをかざして時刻記録)/シングルサインオン(1つのIDでまとめてログイン)。難しく聞こえても、使う側は「使えるか」「迷わないか」で判断しましょう。

身近な運用イメージの具体例

福岡なら、店舗はnimocaなどの交通系ICで打刻、工場はタブレット、オフィスはPCブラウザにしましょう。承認は部門長が昼休みにまとめて実施できます。社会保険労務士と共有アカウントを作り、締め後の修正はコメントで履歴を残しましょう。地域の商習慣に合わせて「紙の掲示」は残しつつ、中身はクラウドに寄せましょう。

費用感の目安(検討のたたき台)

有料ツールを検討するときは、次のレンジで見積もると比較しやすくなります。最終判断は見積書で確認しましょう。

  • 月額費用:1ユーザーあたり200〜600円前後(打刻・承認・基本集計)。IC打刻や高度な集計が加わると600〜1,000円程度になることがあります。
  • 初期費用:設定代行・データ移行で0〜10万円程度。拠点数や就業規則の複雑さで増減します。
  • ハード費:打刻用タブレットやICリーダーで1台1〜5万円程度。既存PC・スマホ活用でゼロにできます。
  • 周辺コスト:就業規則の見直し、社内研修、ポスター等で数千〜数万円を見込みましょう。
費用は「人数×月額+初期設定」の合計で比較しましょう。福岡の多店舗なら、拠点追加コストとサポート対応時間(平日夕方対応の可否)も確認しましょう。

導入後の“定着”が本番です

ツールは入れて終わりではありません。人の動きとルールをそろえて、はじめてムダを減らせます。

社内周知のコツ

「なぜ変えるか」を数字で示しましょう(締め遅延△2日、集計時間△50%など)。最初の1か月は朝礼でリマインドし、打刻漏れはその場で直しましょう。よか例を見える化して、褒める文化を作りましょう。

データ活用の始め方

残業の山・谷、遅刻や早退の傾向を月次で確認し、シフトや人員配置に反映しましょう。繁忙期(博多どんたく前など)は前倒しで応援を組み、閑散期は教育時間に回すなど「次の一手」に使いましょう。

乗り換え時の注意

過去データは最低2年分をエクスポートして保管しましょう。労務監査に備えて、承認履歴と修正理由を残す運用に統一しましょう。

ルールはA4一枚に絞って壁貼り。細かい質問は運用マニュアルに誘導すると迷いません。

まとめと次にやること

Excel集計からの卒業は、現場の負担軽減とリスク低減に直結します。今日から動けるよう、要点をもう一度整理しましょう。

  • ムダは「入力・集計・共有」に分けて把握できます
  • まずは打刻→承認→締めだけを置き換えると効果が出ます
  • 選定は“必要十分”と定着のしやすさを最優先にしましょう
  • 費用は「人数×月額+初期設定」でざっくり算定し、無料の小改善も並行して進めましょう
次にやること:今月分の勤怠で「打刻方法の一本化」と「承認期限」をテスト導入しましょう。無料アイデア(リマインド設定・雛形固定・A4掲示)から始め、費用対効果が見えたら段階的に有料ツールへ広げましょう。来月から本稼働に移せます。

もうちょっと知りたかなら、サクッとメールばちょうだい。

小倉 直樹(おぐら・なおき)

執筆者紹介

小倉 直樹(おぐら・なおき)

業務改善ライター/元SE

紙とExcelを卒業するための実務的な工夫を得意とする。
「仕組み化で人に頼らない現場づくり」をテーマに、効率化事例やツール導入のノウハウを紹介。
几帳面な性格から、記事内でも「チェックリスト化」「手順分解」にこだわる。

趣味:釣り/Excelマクロ収集/家電リサーチ

■出身地
福岡県北九州市

■学歴
1990年 福岡県立東筑高等学校 卒業
1994年 九州工業大学 情報工学部 卒業

■経歴
1994年 SIer勤務 システムエンジニア…中小企業の基幹システム構築
2004年 事業会社 情報システム部…社内業務の効率化・RPA導入
2013年 独立コンサルタント…バックオフィス改善・業務標準化支援
2025年 「ChotGPT Fukuoka」専属ライター…紙業務のDX・仕組み化事例を担当

目次

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