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請求書・見積書はまだ手作業?クラウドで“探す・転記する”を卒業

請求書・見積書はまだ手作業?クラウドで“探す・転記する”を卒業

「請求書や見積書、毎回どこにあるか探して転記して…」——その手作業、実は紙→連番→台帳→テンプレ→フォームの順で整えるだけで、ぐっと楽になります。まずは紙で“型”を作り、台帳で一本化し、テンプレでブレをなくしてから画面に移す流れを、福岡の中小企業でも今日から取り組める形でやさしく解説します。

この記事のポイント

最初は紙で合意形成

「見積依頼票」「請求起票メモ」の2枚でスタートの合図を統一できます。現場で合意してから次へ進めます。

台帳は1枚・5列だけ

案件No/顧客名/何を/いつまで/状態の5列で探し物ゼロに近づけます。置き場所は1か所にできます。

テンプレはExcelでOK

見積・請求のひな形を1種類に統一し、入力欄と自動欄を分けてミスを防げます。のちのクラウド移行が楽になります。

最後にフォーム化

紙で回った質問をそのまま画面に移します。項目は増やさず、運用を優先できます。

用語の整理:本記事で使う2つの“スタート合図”

「申込書」という広い言い方はやめ、請求・見積の文脈に合わせて次の2つに分けます。名前を分けるだけで、誰が見ても迷いにくくなります。

見積依頼票(見積のスタート合図)

営業や現場から「この内容で見積を作って」の合図として使います。紙1枚→連番→台帳へ1行で扱います。

請求起票メモ(請求のスタート合図)

受注・納品後に請求書を発行するときの合図です。見積の案件Noを引き継ぎ、金額や締め条件を最終確定します。

段階フロー:紙→連番→台帳→テンプレ→フォーム

いきなりフォームから入ると項目が増えがちで続かなくなります。紙で型を作る→台帳で一本化→テンプレでブレを止める→最後にフォームの順で進めましょう。

見積の流れ(全体像)

見積依頼票(顧客名/品目・数量/希望納期/連絡先)→ ②連番(案件No)を付与(例:2025-0012)→ ③台帳案件No|顧客名|何を|いつまで|状態で1行追加→ ④見積テンプレで固定欄を埋める→ ⑤フォーム化(紙と同じ項目を画面へ)。

請求の流れ(全体像)

請求起票メモ(案件No/確定金額/請求日/締め・支払条件/担当)→ ②台帳の状態を更新(承認待ち→受注→請求中→完了)→ ③請求テンプレで発行(最初は転記でOK)→ ④フォーム化(紙と同じ項目を画面へ)。

福岡の具体例

屋台向け食品卸なら、見積依頼票に「屋台名/納品希望曜日」を入れると、台帳の「いつまで」列で金曜集中が見え、配車や仕込みを前倒しできます。

重要:この段階で“探さない・迷子にならない”土台が完成します。フォームはここからで十分です。

台帳とテンプレ(ExcelでOK):ブレをなくす実務

テンプレは「1件の書類」を作る役、台帳は「全体の状況」を見る役です。最初は表計算(Excel/スプレッドシート)で十分です。

台帳は1枚・5列から

案件No/顧客名/何を(品目)/いつまで(納期・請求日)/状態(受付・処理中・承認待ち・完了)。保存場所は1か所、全員で同じものを見ます。

見積・請求テンプレの最小セット

・見積:表題/案件No/顧客名/担当/有効期限/明細(品目・数量・単価・金額)/合計・税/振込先/問い合わせ先
・請求:表題/案件No/請求日/宛名/締め・支払条件/明細/合計・税/振込先/発行者情報

Excelでやる最低限の設定

①入力欄と自動欄を分ける(セル保護)/ ②計算は=数量*単価=SUM()程度で開始/ ③右上に案件No欄を置き、ファイル名も案件No_文書種で統一します。

ミスを減らす小ワザ

・品目名や税区分はプルダウン(入力規則)で統一/ ・別シートに商品・顧客マスタを置き、単価や宛名だけ自動入力(慣れたらVLOOKUP/XLOOKUP)/ ・見積をコピーして請求に転用(案件Noは共通)。

注意:見積と請求の品目名・税区分はマスタで統一します。人が打つのは数量と日付だけに寄せると転記ミスが減ります。

フォーム&クラウド移行:いつ・どう進める?

紙→台帳→テンプレが回りはじめたら、同じ項目名のままフォームとクラウドに置き換えます。いきなり多機能にせず、最小構成で試しましょう。

フォーム化のコツ

質問は紙と同じ5つ(顧客名/品目/数量/希望納期/連絡先)。送信後に台帳へ1行追加(最初は手でもOK)。連番は「年+連番(例:2025-0012)」が分かりやすいです。

クラウド移行の目印

・発行数が増えPDF化や送付が手間/ ・台帳とテンプレの二重入力が増えてきた/ ・承認履歴や権限管理が必要になってきた——このあたりがサインです。

つまずきやすい点

フォームの項目を増やしすぎると定着しません。足りなければ週1回の見直しで1つずつ足しましょう。クラウド側の項目名は台帳と同じ名前にして連携ズレを防ぎます。

すぐ使える“雛形”

見積依頼票(A4)

案件No:___/顧客名:___/担当:___
品目:___/数量:___/希望納期:__年__月__日
連絡先(TEL/Mail):___/備考:___

請求起票メモ(A4)

案件No:___/顧客名:___/請求日:__年__月__日
確定金額:___円/締め・支払条件:___/担当:___
備考:___

まとめと次にやること

“探す・転記する”をやめる近道は、紙→連番→台帳→テンプレ→フォームの順で小さく整えることです。まず現場で合意し、同じ型で回すことから始めましょう。

  • 見積依頼票と請求起票メモの2枚でスタート合図をそろえます。
  • 台帳は1枚・5列・1か所で管理し、案件Noで紐づけます。
  • テンプレはExcelで1種類に統一し、最後に同じ項目でフォーム化します。

次にやること:今日、2枚の紙(見積依頼票/請求起票メモ)と連番ルール、台帳5列を決め、直近5件で運用を開始しましょう。来週の朝礼で使い勝手を1点だけ改善します。

もうちょっと知りたかなら、サクッとメールばちょうだい。

小倉 直樹(おぐら・なおき)

執筆者紹介

小倉 直樹(おぐら・なおき)

業務改善ライター/元SE

紙とExcelを卒業するための実務的な工夫を得意とする。
「仕組み化で人に頼らない現場づくり」をテーマに、効率化事例やツール導入のノウハウを紹介。
几帳面な性格から、記事内でも「チェックリスト化」「手順分解」にこだわる。

趣味:釣り/Excelマクロ収集/家電リサーチ

■出身地
福岡県北九州市

■学歴
1990年 福岡県立東筑高等学校 卒業
1994年 九州工業大学 情報工学部 卒業

■経歴
1994年 SIer勤務 システムエンジニア…中小企業の基幹システム構築
2004年 事業会社 情報システム部…社内業務の効率化・RPA導入
2013年 独立コンサルタント…バックオフィス改善・業務標準化支援
2025年 「ChotGPT Fukuoka」専属ライター…紙業務のDX・仕組み化事例を担当

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