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紙の請求書をやめると何が変わる?月末のバタバタをなくす方法【経営者編】

紙の請求書をやめると何が変わる?月末のバタバタをなくす方法【経営者編】

「電子化を進めたいのに、現場がなかなか動いてくれない」「システムを入れたいが不安の声が強い」──そんなジレンマを抱える経営者の方は多いのではないでしょうか。DXはトップダウンだけでは進まず、現場の理解と協力が欠かせません。この記事では、経営者がどのように現場を巻き込み、納得感を持たせながらDXを推進できるかを整理します。

この記事のポイント

現場が抱える不安を理解する

「仕事が増えるのでは」「役割がなくなるのでは」といった懸念を受け止めましょう。

業務の流れを一緒に見える化する

経営者がリードしつつ現場と対話すれば、導入効果を共有できます。

数字で効果を示す

残業時間や保管コストを数値化して現場に提示すれば納得感が増します。

福岡の実例を活用する

地域の事例を示すことで「自分たちにもできる」と思ってもらえます。

不安を前向きに変える

単純作業の削減は「人にしかできない業務」に集中できる機会になります。

現場が反発する理由を理解する

経営者は「コスト削減」「スピード経営」といった成果を期待しますが、現場は「誰が入力するのか」「承認フローはどう変わるのか」が見えず不安になります。この温度差を埋めないまま進めると、導入が停滞する原因になります。

経営者が陥りやすい失敗

「システムを入れれば自動で解決する」と思い込み、現場の業務フローを把握しないまま導入してしまうケースです。結果として手間が増え、反発が強まります。

経営者が最初にやるべきこと

現場に任せきりにせず、経営者自身が「業務の見える化」をリードしましょう。紙の請求書がどこで発生し、どこに時間を取られているかを一緒に整理することが信頼づくりの第一歩です。

ヒアリングに使えるチェックリスト

  • 請求書の受け取り手段(郵送・持参など)を把握できます
  • 処理にかかる時間(開封・押印・ファイリング)を数値化できます
  • 承認者の人数と日数を確認し、ボトルネックを見つけられます

福岡の現場例を「説得材料」にする

地域の具体例を示すと、現場も「他社もやっているなら」と納得しやすくなります。

  • 製造業:工場の紙伝票を電子化し、在庫管理と連動できます。
  • 建設業:工事現場の精算をオンライン化し、承認が即日完了できます。
  • 卸売業:倉庫の紙帳票を削減し、出荷作業に集中できます。
  • 飲食業(天神エリア):仕入先請求を電子化し、本社確認が即日可能になります。
  • 物流業(門司港):港での荷受け伝票を電子化し、リアルタイムで本社共有できます。
  • 行政(福岡市役所):補助金や使用料請求を電子化し、住民サービスを迅速化できます。
  • 小売(北九州エリア):複数店舗の請求データを本部で集約し、締め処理を短縮できます。
  • ホテル・宿泊(博多駅周辺):予約・団体請求を電子化し、フロントの締め作業を標準化できます。
  • EC・D2C(糸島発の通販):オンライン受注と請求を連携し、入金消込を自動化できます。
  • 医薬品卸(福岡市内):納品・返品の差額請求を電子化し、照合作業を短縮できます。
  • 不動産管理(大名・薬院):家賃・共益費の請求を自動発行し、入居者対応を効率化できます。
  • 人材派遣・BPO(天神):就業実績から請求書を自動作成し、取引先ごとの様式にも対応できます。
  • コールセンター(博多):案件別の稼働集計と請求を連動し、締め後の修正を減らせます。
  • 印刷・制作(博多区):見積・校了・納品の各ステータスと請求をひも付けできます。
  • 教育機関(専門学校・塾):授業料・教材費の請求と入金確認をオンラインで一元化できます。
  • 医療・クリニック(福岡市内):自費診療や物販の請求を電子化し、会計待ち時間を短縮できます。
  • 介護・福祉(久留米):利用者別明細を自動化し、家族への説明資料を即時作成できます。
  • 運輸・配車(博多港・空港):運賃・付帯料金の請求を電子化し、誤請求を防止できます。
  • 漁業(水産市場・長浜):水揚げ日次の精算を電子化し、支払いサイクルを短縮できます。
  • 農業(糸島):出荷数量から請求を自動作成し、都市圏バイヤーと即時共有できます。
  • 林業・製材(筑後):検収データと請求を連携し、単価差異のトラブルを減らせます。
  • 清掃・ビルメンテ(天神):巡回実績から月次請求を自動集計し、証跡も添付できます。
  • 設備保守(空調・電気):点検報告→見積→請求までを一気通貫で記録できます。
  • 士業(税理士・社労士):月額顧問料やスポット請求を自動発行し、未収フォローを省力化できます。
  • プロスポーツ・イベント:スポンサー料・出店料の請求を電子化し、契約別の入金管理ができます。
  • NPO・公益法人:助成金・会費・事業収入の請求を分けて管理し、監査対応を簡素化できます。
  • 寺社・観光施設(太宰府):団体参拝・催事の請求を電子化し、当日の人数変更にも対応できます。
  • IT・スタートアップ(博多):サブスク請求と入金消込を自動化し、月次のMRR確認を迅速化できます。
  • 広告・メディア:掲載枠・期間・実績に応じた請求をテンプレート化できます。

現場を動かすための伝え方

経営者が「システムを入れるからやってくれ」と一方的に伝えても、現場は動きません。納得してもらうためには、伝え方に工夫が必要です。

1. まずは共感を示す

「仕事が増えるのでは?」「操作が難しいのでは?」といった現場の不安に共感することから始めましょう。否定せず「確かに最初は手間が増えるかもしれない。でも…」と続けるだけで、受け止められ方が変わります。

2. 数字で伝える

効果を感覚ではなく数字で示すと説得力が増します。例えば:

  • 「月末処理に20時間の残業が発生している」
  • 「紙の保管コストが年間10万円かかっている」
  • 「承認フローに平均5日かかっている」

このように数字で可視化することで、現場も「確かに改善が必要だ」と認識できます。

3. 事例で伝える

同じ福岡の企業事例を示すと「他社もやっているならうちでもできそう」と現場が動きやすくなります。

  • 建設業:精算書のFAX送信をやめ、オンライン承認で工期短縮に成功
  • 飲食業(天神):仕入請求を電子化し、1日で確認可能に
  • 物流業(門司港):荷受け伝票を電子化し、リアルタイムで本社と共有

4. 将来像を描く

「電子化が進めば、この作業はなくなる。その分、〇〇に時間を使える」と具体的に未来像を描きましょう。例えば:

  • 「ハンコをもらうために上司を探す時間がゼロになる」
  • 「紙の請求書探しに追われず、分析や改善に時間を使える」
  • 「取引先からの問い合わせに即答できるようになる」

5. 小さな成功体験を作る

いきなり全社導入ではなく、一部の部署や案件で試して「便利になった」と感じてもらうことが大切です。小さな成功を積み重ねれば、現場の抵抗は次第に薄れます。

現場を動かすカギは「共感 → 数字 → 事例 → 将来像」の順で伝えることです。
経営者が丁寧に順序立てて説明すれば、現場は前向きに動き始めます。

「仕事がなくなるのでは?」への答え方

現場からよく出る不安が「自分の仕事がなくなるのでは」という声です。経営者としては、この不安を軽視せず、正面から答えることが大切です。

1. 不安の背景を理解する

担当者は毎日、請求書の仕分け・押印・ファイリングといったルーティン作業に時間を割いています。そのため「この作業がなくなったら、自分の居場所もなくなるのでは」と考えてしまうのです。

2. 役割の変化を伝える

電子化によって減るのは単純作業です。その分、人にしかできない業務に時間を使えるようになります。例えば:

  • 請求データをもとにしたコスト分析
  • 取引先との条件交渉や改善提案
  • 社内の承認フロー改善や効率化プロジェクト
  • 新しいツール導入のリーダー役

こうした役割は機械にはできません。経営者が明確に言葉にして伝えることで、現場の安心感につながります。

3. 福岡の事例を示す

例えば博多のホテル業では、フロント担当者の請求処理を電子化したことで、顧客対応に専念できるようになりました。北九州の小売業でも、複数店舗の売上請求を本部で自動集計する仕組みを導入し、担当者は店舗オペレーション改善に力を発揮しています。

4. 成長と評価につながることを示す

単純作業が減った分、データ分析や改善提案に取り組めるようになります。これは経営層から見ても評価しやすい業務です。経営者が「電子化はキャリアの幅を広げる機会になる」と伝えれば、現場は前向きに受け止めやすくなります。

電子化は「人の役割をなくす」のではなく「人の力を発揮しやすくする」ための仕組みです。
経営者がそのメッセージを繰り返し伝えることで、現場の不安は自信に変わります。

まとめ

  • 現場の不安を理解し、数字で効果を示せば導入は進めやすくなります
  • 福岡の具体例を提示することで「自分たちもできる」と思ってもらえます
  • 電子化は仕事を奪うのではなく、人材を付加価値のある業務へシフトさせます

次に経営者がやるべきことは、残業時間や処理件数を数値化し、現場に共有することです。経営者が先に数字を示せば、現場は納得し、改革に前向きになります。

もうちょっと知りたかなら、サクッとメールばちょうだい。

小倉 直樹(おぐら・なおき)

執筆者紹介

小倉 直樹(おぐら・なおき)

業務改善ライター/元SE

紙とExcelを卒業するための実務的な工夫を得意とする。
「仕組み化で人に頼らない現場づくり」をテーマに、効率化事例やツール導入のノウハウを紹介。
几帳面な性格から、記事内でも「チェックリスト化」「手順分解」にこだわる。

趣味:釣り/Excelマクロ収集/家電リサーチ

■出身地
福岡県北九州市

■学歴
1990年 福岡県立東筑高等学校 卒業
1994年 九州工業大学 情報工学部 卒業

■経歴
1994年 SIer勤務 システムエンジニア…中小企業の基幹システム構築
2004年 事業会社 情報システム部…社内業務の効率化・RPA導入
2013年 独立コンサルタント…バックオフィス改善・業務標準化支援
2025年 「ChotGPT Fukuoka」専属ライター…紙業務のDX・仕組み化事例を担当

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