「社長が急に『請求書を電子化しよう!』と言い出したけれど、現場の私たちはどうすればいいのか?」──そんな戸惑いを感じる経理担当者の方も多いのではないでしょうか。経営者は改革の必要性を口にしますが、実際に処理をしているのは現場です。日々、紙の請求書の山、押印やファイリング、取引先からの催促対応に追われていると、電子化と言われても「誰がやるの?」「結局手間が増えるのでは?」という不安が先に立ちます。この記事では、担当者として何から始めればいいか、そして経営者にどう伝えれば理解してもらえるかを整理します。
この記事のポイント
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現場で感じる困りごとを整理する
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「紙がたまる」「承認が遅れる」「残業が増える」といった日常の悩みを書き出しましょう。
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担当者の初動
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業務の流れを「見える化」して、改善点を自分で把握できます。
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数字で伝える
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「月末に20時間残業」「ファイル保管に年間10万円」と具体的に示すと説得力が出ます。
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福岡の現場例から学ぶ
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同じように悩んでいた業種の例を見ると、自分のケースに置き換えやすくなります。
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不安を整理する
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単純作業が減っても、人にしかできない仕事は必ず残ります。
現場が感じるリアルな困りごと
経営者は「スピード経営」「コスト削減」といった成果を期待しますが、現場ではもっと身近で切実な課題があります。
- 毎月末、紙の請求書が机に山積みになり、深夜残業になる
- ハンコをもらうために上司を探し回る時間が多い
- 取引先から「まだ処理できていないの?」と催促が入る
- ファイル保管の棚がいっぱいで、新しい保管場所を探している
- 「システムを入れたらもっと大変になるのでは?」という同僚の声
こうした現場の声を経営者が理解していないと、電子化の話が出ても前に進みにくくなります。
よくある失敗
「システムを入れれば自動化できる」と思い込んで進めた結果、入力作業がむしろ増えてしまうケースです。現場の実務フローを見直さないまま導入すると、余計に手間がかかることがあります。
担当者が最初にやること
まずは「今の困りごとを整理すること」が第一歩です。漠然と「忙しい」と言うより、どこに時間や労力がかかっているのかを数字で把握しましょう。
チェックリスト
- 請求書を受け取る手段(郵送・FAX・持参など)を書き出せます
- 処理にかかる時間(開封・押印・コピー・ファイリング)を測れます
- 承認に必要な人数と日数を整理できます
これをまとめれば、「電子化すれば何が楽になるのか」を自分でも整理でき、経営者に説明しやすくなります。
福岡の現場例
同じ悩みを持つ現場の例を知ると、自分のケースにも応用できます。
- 建設業:工事現場の精算書をFAX送信していたが、オンライン化で承認が即日完了。
- 飲食業(天神):仕入先から紙で届く請求書を電子化し、本社確認がその日のうちに完了。
- 物流業(門司港):港での荷受け伝票を電子化し、本社と同時に確認可能に。
- 医療機関(博多区):診療報酬の関連書類を電子化し、月末残業を削減。
- 農業(糸島):出荷請求をアプリ管理に変え、東京の取引先に即日送信。
経営者にどう伝えるか
経営者に伝えるときは、感覚ではなく数字や具体例を使うと効果的です。
「毎月末に20時間の残業が発生している」「書類保管コストに年間10万円かかっている」など、リアルな数値を示すと理解してもらいやすくなります。
用語ミニ解説:ワークフロー
ワークフロー(業務の流れを管理する仕組み)は、単なる承認ツールではありません。「誰のところで止まっているか」を見える化できるため、業務改善の武器になります。担当者が理解しておけば、経営者に具体的に説明できます。
取引先との関係も変わる
請求書の電子化は社内の効率化だけでなく、取引先への対応にも直結します。問い合わせや修正依頼にすぐ対応できるようになり、「この会社は対応が早い」と信頼を高められます。
「仕事がなくなるのでは?」という不安
「紙の処理がなくなれば、自分の仕事がなくなるのでは…」と不安に感じることもあります。しかし実際には、単純作業が減ることで、人にしかできない業務に時間を使えるようになります。
まとめ
- 現場の困りごとを整理すれば、改善の道筋が見えます
- 福岡の各業種でも電子化により「残業削減」「確認スピードアップ」が実現しています
- 電子化は仕事を奪うのではなく、人にしかできない役割に集中するための仕組みです
次にやることは、自分の業務を数字に置き換えて整理することです。これが経営者に伝えるときの一番の材料になります。